東海大が悲願の初優勝。快走の布石は昨年の箱根から始まっていた (5ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Mstsuo/AFLO SPORT

 8区はコース的にも館澤向きだ。最初の10kmは平坦な道が続くが、15.9kmからは遊行寺の坂、原宿からの上り坂が続く。館澤は1年時、5区を走るなど上りもそれほど苦にしていない。館澤に8区を任せることができれば、来季はより攻撃的な布陣を敷くことができるのでないだろうか。少なくとも6区、8区を軸に復路で勝負できる配置が可能になれば、5位よりさらに上を目指すことは可能になる。

「今回の5位は誰が走ってもこの順位だと思います。これが今の東海大の力なので、これをしっかりと受け止めることですね。箱根はまず3位内に入ることが重要だと思います。3位内に入るというのは戦えている証拠なので、それを続けていけば優勝できると思うんです。そうして、うちが取り組んでいる"スピード"を武器に戦えることを証明したいですね」

 館澤は強い決意を秘めた引き締まった表情で、そう言った。

 2018年シーズンも館澤はやり方を変えないという。むしろ2017年にやってきたことをより進化させていく。

「今回の箱根で1500mも20kmもやれるということがわかったんで、今後もこの2つをやり続けていきます。ただやるのではなく、1500mでは世界を目標に、箱根では区間賞を目指して貪欲にやっていきます」

 青学大の強さが目立った今回の箱根駅伝だが、勝負を決めたのは6区と7区。だが、それも8区に下田というエースが控えていたことが大きい。青学の必勝パターンは6区と8区に絶対的な存在がいて、後続を大きく引き離す展開なのだ。

 今回、東海大にも6区の中島、8区の館澤という必勝コンビが誕生した。東海大の多くの選手が力を発揮できずに終わったなか、中島と館澤の走りは沈みかけたチームを救ったのだ。両角監督も「2人は昨年以上の走りをしてくれた。同じように並べられるかわからないですが、可能性としては面白い」と語っている。

 中島、館澤がそれぞれ区間賞を取るような走りができれば、箱根駅伝3位内はもちろん、初優勝も視界に入ってくるだろう。

 そのくらい大きな武器を敗戦のなかから東海大は手に入れたのである。

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