東海大が悲願の初優勝。快走の布石は昨年の箱根から始まっていた (4ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Mstsuo/AFLO SPORT

 その後、その印象を覆すような走りができていなかったですし、12月下旬の富津合宿も調子は悪くなかったですが、他にも調子の上がっている選手がいたので......自分はないかなぁって思っていたんです」

 しかし、最終的に8区の指名を受けたのは館澤だった。

 1月3日の朝、区間変更されたのだが、その直後からツイッターでは館澤の目を疑うような言葉がツイートされていた。

「館澤8区!? 終わった」
「館澤かー。無理だー」

 それを見た館澤は、気持ちが奮い立ったという。

「いろいろ言われて悔しかったですね。長距離、走れないみたいなイメージがあったと思うんで、絶対に見返してやるって思っていました」

 ツイッターの反応でモチベーションが上がった。館澤はさまざまな言葉を飲み込んで、ロードへ飛び出していった。

 館澤はスピードに特化した練習に取り組んだ東海大が生んだ成功モデルと言える。日本選手権1500mで優勝し、出雲駅伝では2区(5.8km)を区間2位の走りで優勝に貢献した。

 全日本でも3区(9.5km)で区間賞の走りを見せた。春からのウエイトトレーニングで筋力が増し、体幹が安定した。見た目は長距離選手とは思えない筋肉質な体をしているが、体自体には重さを感じていないという。むしろ安定して走れるようになり、走力がついてきた。長距離が弱いと指摘されてきたが、弱いどころか、今回の箱根では今後8区(21.4km)の主役になり得るような走りを見せたのだ。

「正直、21kmはめちゃくちゃキツかったです。長距離は得意なわけではないので。でも、負けてたまるかっていう気持ちでなんとか走れました。8区を今回走ってみて、かなりの手応えを感じました。

 箱根には主要区間ってあると思うんですけど、青学は下田さんが8区でしっかりと結果を出して勝利に結びつけています。すごく大事な区間になっていると思うので、来年もこの8区を狙いたいと思っていますし、ここで結果を出していきたいですね」

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