大会中に出た「東海大は大丈夫か」の声に、館澤ら選手が快走で答えた (2ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 つづく3000SC予選では須崎乃亥(のい/1年)が決勝進出を果たし、5000mでは主力の松尾淳之介(3年)が欠場したが、西川雄一朗(3年)と中島怜利(れいり/3年)が出場。

 気温30度、湿度70%という厳しい条件のなか、西川はレダマ・キサイサ(桜美林大)、パトリックマゼンゲ・ワンィ(日本大)ら外国人留学生が先行する先頭集団についていく。

「レース展開は自分で考えろ」

 両角速(もろずみ・はやし)監督にそう言われ、まずは積極的に前についていけるところまでついていこうと西川は考えていたとう。身長183cmの大きな体を生かし、懸命に腕を振って日本人トップを狙って走る。しかし、ラスト1周で吉田圭太(青学大2年)に抜かれて4位。141290は自己ベストには及ばないが、暑いなかでのレースであり、決して内容的には悪くなかった。

「タイム的にも微妙ですし、最後(吉田に)抜かれて......ちょっと悔いが残ります。正直、負けたくなかったですね。ただ、合宿からこのレースをシュミレーションして、うしろからではなく、意識していた前で走ることができたし、手応えもあったので、そこはよかったなと思います」

 話している顔には、止めどなく汗が吹き出してくる。

「ちょっと座ってもいいですか」

 そう言って、西川は地面に腰を下ろした。力を出し尽くしたのだろう。立っていられないほど、体は消耗していた。

 昨年、西川は箱根駅伝を目指し、秋から好調を維持していた。

 箱根の試金石となる上尾ハーフでは關颯人(せき・はやと/3年)、湯澤に次いで、東海大のなかで3位。1時間3分16秒の自己ベストを出し、チームのなかで存在感を見せつけた。その後、クリスマス前後の富津合宿でもいい走りを見せ、「調子がいいので箱根を走りたいですね」と初の箱根に向けて意欲満々だった。

 しかし主力選手の層は厚く、最終的に走ることはできなかった。

 その悔しさを糧に、今シーズンは「箱根駅伝出走」を目標に、夏合宿では練習メニューをほぼ完璧にこなし、主力組のなかに割って入ってきた。西川は言う。

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