2018.09.20

大会中に出た「東海大は大丈夫か」
の声に、館澤ら選手が快走で答えた

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

東海大・駅伝戦記  第31回

前回の記事はこちら>>

 日本学生陸上競技対抗選手権大会(全日本インカレ)は9月6日から4日間、等々力陸上競技場で開催された。

 東海大の今シーズンの目標は、「学生長距離5冠」である。5月の関東インカレの長距離部門で優勝しており、この大会を制すれば2冠達成となる。

 関東インカレでは1万mでなかなか得点を挙げられず、苦戦のスタートになったが、ハーフで湯澤瞬(4年)が2位と奮闘し、最後の5000mで鬼塚翔太(3年)が位に入って、なんとか優勝を勝ち取った。

全日本インカレ1500mで優勝した東海大・館澤享次 全日本インカレはハーフがないので、長距離部門は1500m、3000SC(障害)、5000m、1万mの4種目で争われる。

 しかし、初日はまさかのスタートになった。

 1万mに出走予定だった鬼塚、小松陽平(3年)、塩沢稀夕(きせき/2年)の3人が揃って出走しなかったのだ。数日前に走らないことが決まっていたようだが、それにしてもひとりも走らないというのは、かなり異様だ。

 他大学も主力選手がエントリーしていないところがあったが、それとは意味が異なる。ライバル校や陸上関係者に大きな驚きを与えつつ、「東海大は大丈夫なのか」と心配する声が多数出ていた。

 そんなチームに漂う重苦しい空気を打ち破ったのが、館澤享次(たてざわ・りょうじ/3年)だった。

 今年8月、アジア大会に日本代表として1500mに出場したが9位に終わった。まさかの結果に落胆し、悔しさを噛みしめて帰国。その後、再調整して今大会に臨んだ。

 予選では3組でトップ通過。決勝でも第3コーナーで抜かれて前を行く才記壮人(筑波大4年)をラスト50mで抜き返して優勝。得意のガッツポーズを出せないほどギリギリのレースだったが、これで館澤は関東インカレ、全日本選手に続き、3冠を達成した。

「このまま終わったら今までの自分と同じ。最後は頑張りました」

 館澤の優勝でチームは一気に活気づいた。