大会中に出た「東海大は大丈夫か」の声に、館澤ら選手が快走で答えた (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

「夏合宿はしっかりメニューをこなせて、その成果がこのレースに出たかなと思います。昨年は本当に悔しかったですし、今年は同じことを繰り返したくないです。今日の走りは今後につながると思うんで、さらに調子を上げて箱根を走って、昨年の悔しい思いを晴らしていければと思っています」

 ゴール付近にいた西出仁明(のりあき)コーチからは「西川、OK!」という声がかけられた。今年の西川は間違いなく、箱根駅伝に絡んでくるだろう。

 一方の中島は順位こそ20位(15分5秒59)に終わったが、6月の世田谷区記録会の5000mで135393の自己ベストを出すなど、春から好調を維持している。箱根だけではなく、出雲、全日本大学駅伝にも絡んできそうな勢いだ。

「今までは箱根だけだったんですけど、今年は3大駅伝を走るのを目標にしてやってきました。現状は、主力に故障者が出ているのもあって、チームとして厳しいところはありますし、今回も鬼塚が1万mを走っていないので『今年の東海はよくないんじゃないか』ってみんな思っていると思うんです。でも、昨年の出雲を走った6人プラス7番手以降の選手が出てきているし、自分の調子もいいので、ここから尻上がりにいきますよ」

 中島は小さな笑みを浮かべて、そう言った。

 昨年は2年生だった鬼塚、館澤、阪口、關らが頑張って出雲を取り、全日本大学駅伝では2位になった。その後は、關ら主力に故障者が出たり、個々の調子も上がらず箱根は5位に終わった。

 箱根を制した青学大や2位の東洋大に後塵を拝したのは、厚いと言われていた東海大の選手層が、実は主力に頼りすぎて、中間層が主力を食うまで至らなかったことが要因のひとつとして挙げられた。

 今年は主力に故障が相次ぐなか、西川をはじめ、中島、郡司、小松ら中間層の頑張りが目立っており、主力が回復すればこれ以上ない厚い選手層になる。そのことを強く印象づけたのが中島の成長であり、今回の西川の快走だった。

 西川の走りでポイントを獲得し、大会最終日に長距離部門優勝の可能性がつながった。

 3000SC決勝に出場する1年生・須崎の走りにすべてがかかっていたのである。

(つづく)

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