東京五輪に向けて候補者が続々と名乗り。瀬古利彦が注目するランナー (2ページ目)

  • 高橋博之●文 text by Takahashi Hiroyuki
  • 甲斐啓二郎、アフロ●写真 photo by Kai Keijiro,AFLO

「設楽選手は自分のことを一番よく知り、自分のやり方を知っている選手です。40km走はやらない、コーラが好きで、野菜をあまり食べないっていろいろ言っていますが、構いません。それが設楽選手の体に合っているのだろうし、彼の食生活だから。ただ、彼はそれで走れるかもしれないけれど、他の人はそうではありません。親御さんが子どもに『日本記録保持者が野菜食べなくていいって言っている』なんて反論されると困るでしょ。『僕は食べなくても大丈夫だけどみんなは食べた方がいいよ』とか救いのある言い方をして欲しいな(笑)」

 大迫、設楽だけではない。2人を中心とした世代の選手が次々とMGCの出場権を手にした。

「大迫選手と設楽選手は同学年でライバル関係。どんどん行くと思います。4分台までいくと思う。ただ2人だけじゃない。同学年の宮脇千博選手もモノが確かな選手だけあって東京マラソンでしっかり結果を出した。そこに1学年上の木滑良(きなめ・りょう)選手に村澤明伸選手、1学年下の井上大仁選手、竹ノ内佳樹選手、中村匠吾選手、さらに男子最年少の上門大祐選手といった選手たちも加わって、ひとつの大きな世代を形成しています。MGCまでの1年間でどうするか。そこが次の勝負所です」

 もちろんMGCに出場するのはこの世代だけではない。佐藤悠基、川内優輝、園田隼、山本憲二といった面々もファイナリスト入りした。

「東京で結果を出したのが佐藤選手と山本選手。佐藤選手は何回もマラソンを走っていますが、いつも後半に落ち込んで12分くらいまでの成績だった。それが今回は最後までイーブンでいった。いいきっかけになるはずです。佐藤選手は10000mが強くてスピードや勝負強さ、経験もあるわけですし、期待しますよね。山本選手はフルマラソン2戦目で一気に自己ベストを7分近く更新した。プレッシャーに強そうじゃないですか。

 別府大分では園田選手も粘り強くいい走りだった。彼は暑さに強いと聞いています。アジア大会でどんな走りをみせてくれるか楽しみですよ。それにワイルドカード選出の川内選手。彼はボストンのような思い切った走りもできるから外国人選手に名前も知られているし、嫌がられています。こういう日本人は他にいないんですよ。マラソンは相手に自分を意識させた時点で有利になるから、本当にすごいことです」

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