次世代みずき登場。女子マラソン期待の松田瑞生は「ノリで走るタイプ」 (3ページ目)
今回のマラソン練習自体も最後の仕上がりは、前田のいい時まではいかなかったけれど、木崎や中里よりは余裕を持ってできていたので、悪くても2時間23~24分の練習はできているとみていました」
松田自身、35kmからの5kmが16分53秒まで落ちてしまったことを、もう少し上のレベルで維持したかったと振り返ったが、林監督は「彼女の場合は乳酸が溜まって脚が動かなくなった状態でも、もう一回切り換えてペースを上げることができる。競り合う相手がいれば、ラスト5kmももう少し上げることができるはず」と言う。
さらに「今回は自分のペースで上げていったうえでの16分19秒でしたが、相手がポンとスパートした時に対応して上げていけるかというのが課題になると思います」と今後の改善点も指摘する。
今回は25kmまでの平均ペースでうまくハマッた面はあるが、世界選手権の1万mでペース変化への対応能力もあることを証明している。それを揺さぶりが激しいマラソンでできるかどうかは、これからレース経験を積んでいくしかない。
これまでの選手のようにストイックに取り組むのではなく、ノリと勢いでいく性格だけに林監督も「そこがこっちは大変なんですよ」苦笑する。だが、ノッたら強いというのは勝負をするうえでも重要なこと。これまでとは違ったタイプのランナーの出現は、日本女子マラソンにとっても心強い。
2位になった前田も、天満屋の武富豊監督が「勝敗よりも25kmくらいから飛び出すようなレースができるかを課題にしていましたが、それをしっかりやってくれた」というように、失速を恐れずに飛び出したことで、これまでの自己記録を5分更新する2時間23分48秒で走り切り、マラソンへの対応力の高さを証明した。
さらに体調を合わせられなかった昨年の世界選手権代表の安藤友香(スズキ浜松AC)も2時間27分37秒で3位になり、19年のマラソングランドチャンピオンシップ出場権を確保した。
3月の名古屋ウイメンズマラソンには、松田のチームメイトの前田彩里のほか、リオデジャネイロ五輪1万m代表の関根花観(日本郵政グループ・22歳)や、リオ五輪5000m、17年世界選手権1万m代表の上原美幸(第一生命・22歳)も出場する予定だ。松田の快走は、次に続く選手たちにも大きな刺激になったに違いない。
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