次世代みずき登場。女子マラソン期待の松田瑞生は「ノリで走るタイプ」
気温は5~6度前後で、風も弱い好条件のなかで行なわれた1月28日の大阪国際女子マラソン。ペースメーカーが5kmを17分の安定したペースで引っ張って、中間点を予定通りの1時間11分59秒で通過した。
表彰式でも、天真爛漫さが際立った松田瑞生 25km過ぎから果敢に飛び出した17年北海道マラソン優勝の前田穂南(天満屋・21歳)を29km手前から追い込み始めたのは、初マラソンの松田瑞生(みずき/ダイハツ・22歳)だった。松田は30.8kmで前田をかわすと、そのまま先頭に出て独走態勢を作り上げ、30~35kmのラップタイムを16分19秒にまで上げた。
だが、その走りは常識的に考えると終盤に失速しかねない危ういものに見えた。
「間違いなく、あの反動で落ちるとは思いましたね。でも、17分半くらいで抑えてくれるとは思っていました。それが何とか持ちこたえたのは、彼女の地元が競技場のある長居だったこともあると思います。ああいう性格なので、自分がハイテンションになってしまえば乗っかってしまうので。それが走りにかなり影響していると思います」とダイハツの林清司監督は言う。
一方で松田自身は、あっけらかんとしてこう振り返る。
「監督からは30kmまでペースメーカーについていけと言われていたので、前田さんが出た時は『こんなに早く出て大丈夫かな』と思っていました。後半が強いのは私の方なので冷静に追えていたし、ラップタイムを見て『速かったな』と思っただけ。感覚的には速く行きすぎたということもなかったし、沿道の応援も大きかったので超楽しかったです」
35kmからの5kmは16分53秒まで落ちて、終盤はストライドも狭くなったものの、体の動きはまったく変わらなかった。25kmからの16分45秒も含めて40kmまでを16分台でカバーし、後半を1時間10分45秒と上げて2時間22分44秒で走りきった力は本物だ。
日本陸連の山下佐知子女子マラソンオリンピック強化コーチも「最後まで走りが変わらない安定感もあり、危なげない走り。この先もいけると思う」と評価する。
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