箱根駅伝5位に沈んだ東海大の自省。「速さはあるが、強さがない」 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text by Sato Shun  photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 両角監督は、東海大には「速さ」があるが「厳しさ」「強さ」が足りないという。

 青学大の第2寮は二軍に位置付けされ、たとえ主力でも故障や調子を落とすと第2寮に容赦なく落とされる。こうした厳しさに常にさらされることは選手にとってストレスになるが、逆に言えば、両角監督の言う"強さ"を身につけることができる。

 競技力だけではなく、生活面の向上が重要だとも両角監督は指摘するが、来年、箱根を獲るために今一度、学生たちが自主的に自分たちを厳しく管理し、その中に身を置いてやっていけるか。次の湊谷春紀主将と木村大周主務らのチームの舵取りが注目される。

 2017年は「打倒! 青学」を掲げ、出雲と全日本では青学を上回った。しかし、年明けの箱根では13分もの大差をつけられて敗れた。

「箱根は別モノでしたね。これだけ圧倒的な差をつけられるのは、やはり箱根に対して1年間やってきているか、やっていないかの差かなって思います。青学に勝つためには、今のやり方では28分30秒を切る選手を10人揃えないと、という形になるんでしょうが、それは無理なので、今の速さに強さをプラスしていきたい。記録会とかは調子がいいと記録を出せると思うんですけど、インカレや全日本選手権とかそういう場で勝ちきっていく勝負強さを重視していくと強さが出てくるのかなと思います」

 両角監督は落ち着いた表情で、そう言った。

 東海大は2018年もスピードに特化した強化を継続していくという。さいわい、今回の箱根でその成功事例が見られた。日本選手権の1500mで優勝した館澤が21.4kmの箱根8区で区間2位の快走を見せ、スピードを活かしつつ、長距離に対応できることを証明したのだ。東海大の強化策は確実に芽が膨らみ、開花しつつある。

 果たして満開になるのは今季になるのか、それとも......。

(つづく)

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