東海大の駅伝を支える「スーパー2年生」に新たなスター候補が現れた
東海大・駅伝戦記 第8回
日本インカレ、2日目(9月9日)は朝から大勢の陸上ファンでにぎわっていた。
この日は注目の男子100m決勝があり、ロンドン世界陸上で100mに出場した多田修平と4×100mリレーで銅メダルを獲得した桐生祥秀が決勝で当たることになっていたからだ。
短距離は空前の人気だ。
10秒前後で終わる勝負は見ていてもわかりやすく、楽しめる。しかも彼ら2人以外にもサニブラウン・ハキーム、ケンブリッジ飛鳥、山縣亮太らタレントが揃っており、みなレベルが高く、ライバル関係もおもしろい。
一方、長距離界に目を転じると男子は瀬古利彦、女子は高橋尚子以来、本当のスター選手が出てきていない。マラソンはわかりやすいが、トラックの1万mだとしっかり見ていないと何周回っているのかわからなくなり、観客の興味をつなぎとめておくことは簡単ではない。
「北海道マラソンで優勝した村澤(明伸)や大迫(傑/すぐる)あたりに頑張ってほしいけどね」と両角速(もろずみ・はやし)東海大監督は言ったが、今、長距離界に一番必要なのはスーパースターの誕生だ。地道な普及活動も大事だが、ひとりのスーパースターの活躍によって、そのスポーツの認知度は飛躍的に高まり、盛り上がっていく。鬼塚翔太(2年)や關颯人(せき・はやと/2年)は、その候補となりえる選手である。
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19時00分、選手がトラック上に出てきた。
場内は桐生が9秒98という日本人初の9秒台と日本新記録を出した余韻が残っている。5000mも昼間の暑さがなくなり、コンディションは悪くない。大会記録の13分28秒は十分に狙っていける。
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