才媛ランナー鈴木亜由子の選択。東京五輪「マラソンのエース」はあるか (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimiphoto by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

「前回の北京大会で、できなかった入賞を実現したかった。こだわる必要はないかもしれないけれど、自分の中で決着をつけたいというか、今までの自分を乗り越えたいと思うなら、現実的に見てメダルより入賞というのがあったので、それを目標にしていたんです」

 レース前日の練習でも「このタイムで走れたら」という手応えがあり、いい走りができるのではと期待が持てた。しかし、走り出してみると脚は重く、1万mのようないい感覚はまったくなかったという。1600m手前から先頭に出て集団を引っ張ってみたものの、3周ほどペースメーカー役を務めただけで終わった。

「予想外でした。日本選手権では、1万mから中1日でもいい感覚で5000mを走れていたので、中4日空けばいけるかなと思っていました。でも逆に、その間隔で走るのは初めてだったので、把握できていなかったのだと思います。自分の感覚と実際のパフォーマンスにズレがあったというか......。今年の5月にアメリカで1万mを走って、帰国して次の週に3000mを走ったことはあったんですが、その辺は経験不足かなと思います。今回のレース自体、スピードが上がっていることも感じましたし、それ以上にタフさも必要だと感じました。レースで競り合いながら、ぶつかり合いながら走って経験値を上げていくことが大事だなと思いました」

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