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記録よりも勝つこと。
サニブラウンが教えてくれた「短距離走の本質」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

 しかし、ここは決勝。さすがにコーナー出口の手前からは、インコースの選手たちが襲いかかってきた。直線に出た時は4~5番手。

「コーナーの出口くらいでちょっと脚にきて。そこから体勢を保っていこうと思ったけれど、ラスト100mは脚が痛くて全然動かなかった。右足ハムストリングの筋の上部が張っていた。本当に悔しいです」と言うように、最後は地面を蹴った足も後ろに大きく流れるバラバラの走りで、向かい風0.1mのなか、20秒63の7位という結果に終わった。

「ゴールしたあとは『脚も痛くなくて後半も回せていたら違っただろうな』と思いました。でも、本当に調整も含めて世界選手権へ挑んで、そこで勝つのが一番強い人なんだと思いましたね。いくら速い自己ベストを持っていても、結局は全ラウンドを走り切って、1番にならなければまったく意味がないというのを、肌で感じた試合だったかなと思います」

 レース結果は、20秒09で走った伏兵のラミル・グリエフ(トルコ)が優勝して、2位と3位はウェイド・バンニーキルク(南アフリカ)とリチャーズが1000分の1秒差で分けた。さらに4位と5位は20秒2台。ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が回避したことで本命がいなくなり、200mと400mの2冠獲得を期待されたバンニーキルクも400m決勝翌日の200m準決勝で疲労もあったのか、組3着でタイム上位のプラスで拾われる状態だった。

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