川内、中本、井上の3人は「何を考えて世界陸上マラソンを走ったか」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

後半スピードを上げて、日本勢では最高位の9位に入った川内優輝後半スピードを上げて、日本勢では最高位の9位に入った川内優輝 気温18度ながら日差しが強いなか、ロンドンのタワーブリッジを午前10時54分にスタートした世界陸上の男子マラソン。日本勢3人は入賞以上を目標に掲げていたが、結果は惜しくも届かず。それでも、今大会を日本代表としての最後のマラソンにすると公言していた川内優輝(埼玉県庁)が、最後の最後まで諦めない走りを見せてくれた。

 最初の5kmは大集団で、15分57秒とスローな出だしになった。その後、前方で集団を引っ張っていたダニエル・メウッチ(イタリア)に加えて、アマヌエル・メセル(エリトリア)とカルム・ホーキンス(イギリス)も前に出てくると、10kmまでは15分36秒とペースが少し上がる。15kmまでは15分19秒、20kmまでは15分18秒とまずまずの流れになり、26人ほどの大集団ながらペースは徐々に上がっていた。

 そんななか、勝負どころがいきなりやってきた。

 中間地点の手前から、リオデジャネイロ五輪1万m3位のタミラト・トラ(エチオピア)と、今年のボストンマラソンを制しているジョフリー・キルイ(ケニア)が動きだし、そこに今年の東京マラソン2位のギデオン・キプケテル(ケニア)がつく。

 22kmを過ぎると、その3人のトップ争いが始まり、後ろから4人の集団が追いかけるという形ができ上がる。さらに25kmを過ぎてキプケテルが落ちると、キルイとトラの一騎打ちが早々に始まった。想定外ともいえる早い段階での展開に、乗り損ねた選手も多かった。

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