大迫傑の異例なボストンマラソン参戦は、日本陸上界の常識を崩せるか (2ページ目)

  • 酒井政人●文 text by Sakai Masato
  • photo by AFLO

 大迫がツイッターでつぶやいたのは、丸亀ハーフの約2週間後だ。そのタイミングでの「マラソン走るってよ」宣言だったため、筆者は少し驚いた。

 オレゴンプロジェクトは、五輪・世界選手権で4大会連続の長距離2冠を達成したモハメド・ファラー(英国)、男子1万m(26分44秒36)の米国記録保持者であるゲーレン・ラップ(米国)らが所属する世界トップの長距離チームだ。大迫はそこで、日本人選手としては未知なるスピードを手に入れつつある。しかし、それでマラソンも走れるかというと、そこには疑問符がつく。

 ロンドン五輪の男子1万mでは、ファラーとラップがワン・ツーを飾るなど、トラック種目を席巻してきたオレゴンプロジェクトだが、マラソンではトラックほどの結果を残せていないからだ。

 また、大迫がマラソンに出場する時期に関しても、日本陸上界の常識からすれば少しズレている。日本トップクラスの選手がマラソンに出場する場合は、「その先」を考えている。具体的に言うと、この冬に関しては、ロンドン世界選手権の選考レース(福岡国際、別府大分、東京、びわ湖)に出場するのがオーソドックスな形だった。

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