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男子1万mのリオ五輪代表争い最終章。大迫傑の「ラストスパート」なるか (3ページ目)

  • 酒井政人●取材・文 text by Sakai Masato
  • photo by AFLO

 前回大会は7000m付近から抜け出した鎧坂が、28分18秒53で初優勝を飾るなど、過去5年間の優勝タイムは28分10~30秒台で収まっている。蒸し暑いコンディションでペースメーカーは不在。勝負優先のレースになることを考えると、日本選手権で新たに派遣設定記録「27分31秒43」に到達する選手が現れるとは考えにくい。

 派遣設定記録を突破している村山紘と鎧坂は、8位以内に入れば両者とも代表に選出される計算になる(最上位者は即内定)。そのため、安全策でレースを進めることになるだろう。

 今季出遅れていた村山紘は、6月5日の日体大長距離競技会5000mを13分35秒06で走るなど調子を上げつつある。しかし、無理はせずに、得意のラスト勝負で確実に「順位」を確保する作戦が有力だ。

 一方の鎧坂は、前回と同じように後半のアタックでライバルたちを削ることもできるし、トップ集団の人数を確認しながら、ラスト勝負で優勝を狙う戦略も考えられる。いずれにせよ、両者が入賞(8位以内)を逃す可能性はかなり低い。

 ほかの参加標準記録突破者が自力で五輪キップを勝ち取るには、村山紘と鎧坂の両名を除くなかで、トップを奪わなければならない(優勝ならば即内定)。前回の設楽悠のように鎧坂のペースアップを利用して、ライバルたちから逃げ切る作戦もあるが、一番注目すべきは大迫のレース運びだ。

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