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駅伝ランナーは春先に何をしているのか?『月報・青学陸上部』スタート (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun  photo by Kyodo News

 青学ではレ-ス前、個々の選手に目標タイムを設定させ、試合後にレポ-トを提出させている。内容は、たとえば、10000mの場合、1000m×10個に区切って通過タイムを見る。そのタイムについて考え、これからどう目標タイムにどう取り組んでいくのか。選手は現実のタイムの冷静な分析と内省を言葉にすることを求められるのだ。

 さらにエントリ-費、交通費などの経費も書く。ひとつのレ-スは、どれだけお金がかかっているのか。費用対効果のひとつとして自分にかかる費用を明確にし、結果(タイム)を出すことを求める。1試合1試合の重みを自覚させているのだ。

「大学スポ-ツは企業スポ-ツのようにお金が潤沢にあるわけではないので、そういうことを理解するのは大事だと思っています。もちろん、全額自己負担ではなく、補助していますよ。また、レポ-トの書き方が曖昧だったり、抽象的だったりするとガンガン指摘します。自分がやることなのに、それじゃわからないだろうと。箱根までの間、選手は思うように走れないときもありますが、そのとき『もっと練習します』というところに答えを求めてほしくないんです。陸上だけで解決せず、日常の社会との関わりの中で、何かしら得られるものって必ずあるんですよ。そういうのを大事にしてほしいし、監督をはじめ、広い意味で社会の中で走ることをとらえているところにうちの強さがあると思うんです」

 面子を見れば、来年の箱根駅伝も青学の優位は動きそうにない。連覇を果たした主力のうち秋山雄飛(4年)、一色、下田、田村、中村、小野田の6人が残り、箱根経験者の安藤(4年)、村井駿(4年)もいる。また、自己ベストで10000mのタイムを見れば、28分台が6人、29分台が10人いる。1年生から昨年の小野田のような存在が出てくる可能性も高く、全体の選手の質、層はズバ抜けている。そのチ-ム力は、感覚的には大学チ-ムの中の実業団が紛れ込んだみたいなものだろう。

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