上山友裕は東京パラで有言実行に挑む「満員の会場で金メダルを獲る」 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 伊藤真吾/X-1●写真 photo by Ito Shingo

 前回のリオパラリンピック時は、本番3カ月前の世界最終選考会で勝利して代表に滑り込んだ。それが今回は、本番まで1年3カ月を残して内定を得たことで、長期目線で戦略を組み立てていくことが可能になった。3カ月はかかるとされるフォームの改善にも本格的に着手できる。車いすの高さ変更とフィット性の向上、弓を射る際に手に装着するタブを軽いタイプに新調するなど、道具の準備も進められる。

 加えて、練習環境の選択肢も増やしていく予定だ。現在は、地元東大阪市にある練習場に通い、1日150本、多いときで300本を黙々と打ち込む。ただ、ひとりきりの練習では集中力も途切れがちになる。「音楽を流したりもしたんですけど、効果なくて。一緒になって歌っちゃうんです」と笑う上山。今後は大学や末武コーチの拠点である佐賀に出向くなどして、「東京パラに向けて、もっともいい環境」をその都度模索しながら、強化していくつもりだ。

 高校時代に友人に誘われ、進学した同志社大でアーチェリーを始めた。社会人1年目に両下肢機能障がいを発症し、パラアーチェリーの試合にも出場するようになった。パラリンピック初出場のリオ大会では、男子リカーブで7位に入賞している。国内のパラアーチェリー人気を高めるためには、自身のさらなる活躍が不可欠だと自覚する。東京パラリンピックでは、「満員の観客のなかで金メダルを獲る」ことを公言しており、周囲の人々へのアプローチを含め、「ぜひ会場に足を運んで」と広報活動にも力を入れる。

「国内の大会はお客さんがあんまり入らない。でもリオがそうだったように、パラリンピックはものすごく盛り上がるし、声援を受けてブラジルの選手が大活躍した。今度はそのエールが自分に来ると思っているんで、その時に来てくれた人たちと気持ちを共有して一緒に戦いたいし、来てよかったと思ってもらえる試合にしたい」と、東京への思いを語る。

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