東京パラ出場を目指す菅野浩二。ある助言を機にクァード転向を決意

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

 アジアパラ競技大会の注目競技、車いすテニスで世界を席巻する日本勢の存在感は今回も健在だった。男子シングルスは国枝慎吾(ユニクロ)が金、眞田卓(凸版印刷)が銀、鈴木康平(AOI Pro.)が銅と、表彰台を独占。国枝と眞田はダブルスも制した。

アジアパラ競技大会でシングルスが銀、ダブルスで金を獲得した菅野浩二アジアパラ競技大会でシングルスが銀、ダブルスで金を獲得した菅野浩二 また女子は上地結衣(エイベックス)が優勝し、大谷桃子(スポーツクロマティ)が3位に入った。ダブルスでは上地・田中愛美(ブリヂストンスポーツアリーナ)組が銅メダルを獲得。さらに、クァードクラスの菅野(すげの)浩二(リクルート)が諸石光照(岐阜車いすテニスクラブ)と組みダブルスで優勝、シングルスでは準優勝を果たした。

 菅野が活躍したこのクァードは、上肢にも障がいがあるクラス。男女混合で行なわれ、握力が弱くラケットと手をテーピングで固定して戦う選手もいる。車いすの漕ぎ出しのスピードは出にくいが、相手の動きを予測してプレーする戦略や駆け引き、それを実現するショットの正確性が魅力だ。

 今大会、第1シードの菅野は、シングルス2回戦から登場。台湾の選手にストレート勝ちをおさめると、10日の準決勝ではロンドン・リオパラリンピック代表で第4シードの川野将太(シーズアスリート)に6-3、6-3で勝利した。ボールスピードをコントロールできず、アウトが増えた第2セット序盤は、川野の世界トップクラスのスライスなどにも苦しみ、リードを許したが、ラケットを変えてボールを制御するなど冷静に切り替え、リズムを引き戻した。

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