2018.10.11

競技歴1年弱でアジア5位。
パラ・パワーリフター樋口健太郎が歩む道

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

競技を終えても表情ひとつ変えず、目標の記録を追い続ける樋口健太郎 パラバドミントンやボッチャなど、アジア勢が世界を席巻する競技がいくつかあるが、パラ・パワーリフティングもそのひとつ。インドネシア・ジャカルタで行なわれているアジアパラ競技大会では、競技初日の7日から9日までの3日間のあいだに、はやくも男女あわせて3階級で世界新記録が樹立された。

 日本勢は女子2階級、男子9階級にエントリー。男子72kg級の樋口健太郎(日本パラ・パワーリフティング連盟)は、初出場ながら5位に入る健闘を見せた。6日の開会式に出席後、体調を崩したものの、すぐに回復。試合日まで時間が空いていたが、「普段から間が空いても大丈夫なように練習していたので」と意に介さず、グッドパフォーマンスにつなげた。

 軽快な音楽とカラフルな照明で演出されるなか、樋口はいつもどおりのポーカーフェイスでステージに登場。第1試技で156kgを軽々と挙げると、第2試技で9月のアジア・オセアニア選手権で出した日本記録を1kg上回る166kgをマーク。第3試技ではさらに5kg増やして171kgに挑戦し、見事成功した。

 大会前に「アジアパラでは重さにこだわりたい」と話していた樋口。「今年中に170kg達成」の目標を前倒しでクリアし、調整が順調に進んでいることを感じさせた。

 最後の試技ではタジキスタンの選手と競り合い、最終重量を設定した。「俺はまったく駆け引きは関係ない。コーチの考えに従って、挙げるものを挙げるだけ」。結果、タジキスタンの選手がひとつ上の4位になったが、「人は人、俺は俺」と気にしない。実際、挙上した感覚としては「もっといける」と余力を残していたが、「目の前のことを一つずつやっていくだけ。東京までの2年間で調整していくので、これでいいんです」と、あくまでマイペースに、自分との戦いというスタイルを崩さない。