伸びしろだらけ!「 パラ・パワーリフティング」女子選手たちの挑戦 (4ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

 今大会は日本で初めて開かれた国際大会だ。山本はこれまでも海外の大会に出場しているが、「2020年東京のあとのパリやロサンゼルスも見据え、競技人口を増やすには日本で開催することに意義がある」と話す。

 また、「今大会は成毛選手や中嶋選手、坂本選手らと話す機会があり、すごく楽しかったし、女子選手の仲間がいるということが、とても心強かった」と言い、さまざまな情報を共有する貴重な機会になったと振り返る。15歳の森﨑も、その仲間たちや観客からの大声援に後押しされ、ジュニア&日本記録を更新。地元開催の意義を感じる瞬間にもなった。

 パラ・パワーリフティングに限らず、女性のパラスポーツ人口は決して多くはない。2020年まであと2年に迫った今、各競技の体験会や講演会が盛んに行なわれている。地域の学校などで子どもたちが実際にパラスポーツに「触れて」「学ぶ」イベント等も積極的に実施されているが、障がいの有無にかかわらず、積極的に参加してほしいと関係者は訴える。

 ちなみに、パラ・パワーリフティングでもっとも体重が重い階級の男子107kg超級の世界記録は「310kg」と、同じベンチプレス競技の健常者の世界記録を軽く超える。障がい者が健常者の記録を上回ることが可能な競技として、パラリンピックでは大人気競技のひとつだ。

 圧倒的なパワーとそれを支える強靭な精神力で競技に挑む選手たちの姿は、まさに職人技であり、美しい。日本での大会としては今後、全日本選手権や来年9月下旬に東京国際フォーラムで開催予定のパラリンピック・テストイベントなどでその美技を観ることができる。

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