メダル7個、金持義和の使命。「デフリンピックの知名度を上げたい」 (2ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 村上庄吾●写真photo by Murakami Shogo

 さらに、昨年秋には思い切って練習環境も変え、大学の水泳部から民間のスイミングクラブに移籍した。決め手は背泳ぎの名コーチがいたこと。専門種目に特化して磨きをかけたいと考えたからだ。コーチにはまず、フォームから直された。特にスタートからフィニッシュまで全力で行なうストロークは上下動が激しく、無駄が多いと指摘され、力の入れ具合にオンオフがあるストロークへの修正を指示された。「入水時はしっかりとかき、水から腕を出す時は自然な流れでリラックスする。泳ぎの効率が高まれば、課題である後半の失速も抑えられる」という理論だ。

 そうして臨んだ今年のデフリンピック・トルコ大会。200m背泳ぎでは最初の50mのターンは6位だったものの、その後4位、3位と徐々に順位を上げ、銀メダルを手にした。ストロークの修正も完全とはいえないが、一定の手応えはあったという。

 ただ、4年前に競り合ったアメリカ選手をはじめ、世界も伸びていた。金持は「金メダルも獲れず、目標タイムもクリアできなかった。改善中の泳ぎも満足のいくものではなかった。まだまだです」と振り返る。

 専門コーチに師事したことで、改めて背泳ぎと向き合い、「新しい発見や学びが楽しい」という金持。次の4年は、「いろいろ吸収しながら、『自分流』をつくっていきたい」と意気込む。

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