コートに帰ってきた国枝慎吾「東京パラより、まずグランドスラム」 (2ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文・写真 text&photo by Araki Miharu

―― 肘の回復状況は?

国枝 リオの時は注射などさまざまな処置をして臨みました。その後、11月に痛みが再発し、出場予定だった世界マスターズもドタキャンして。結局ドクターのアドバイスもあって、休養することにしました。その間、肘に負担をかけない体幹や柔軟系のトレーニングはしていましたが、車椅子も日常車は漕ぐけどテニス車は全然。多くの時間を自宅でリラックスして過ごしました。練習を再開したのは2月の下旬くらいからです。70%くらいの空気圧のボールで慣らすところから始めました。うまくいかないのは当たり前ですし、それよりテニスを楽しめる感じがして、ワクワクはしましたよね。

―― そういう心境になるまでが長かったのではないでしょうか。

国枝 リオの後は、自分でもう今はテニスがやれない状態だとわかっていたので、正直言ってテニスにあまり関わりたくなかったんです。見るのも嫌だった。長く離れていると、もしかしたら復帰できないかもしれないとか考えるので、1月末くらいまではやる気が起きなかったです。それを考えると、今のところ順調に来ていると思います。こうやって大会に出て優勝できたのはもう十分過ぎることだし。あとはここから完成度を高めていくことが必要なので、とりあえずはスタートラインに立ったかなという感じがします。

―― 新たなフォームに取り組んでいますね。

国枝 今まで通りのテニスをしていたら衝撃が肘に来てしまう。だから、一番肘に負担がかからないフォームを追求しているところです。2月に練習を再開してから、ようやく海外勢などのプレーを直視できるようになったので、どの打ち方が一番負担がかからないのかを映像で研究したりしています。試合になるとつい昔のフォームに戻ってしまうことがあるので、「新しいスイングでやるんだぞ」って1ポイントずつ戒めながらやっています。ただ、「どこに打つか」じゃなくて「どう打つか」を考えちゃうので、そこはやっぱりテニスをするうえでロスになっていますよね。

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