ウィルチェアーラグビー・三阪洋行が語る「東京パラに描く夢」 (4ページ目)
伊藤 障がいのある人との接し方が変わることで、パラスポーツへの関心も広がっていくといいですね。
三阪 そうですね。「その車いす、かっこいいですね」から、「筋肉すごいですけど、スポーツされてるんですか?」って話に広がるのも楽しいかもしれない。東京パラが来た時に、例えば「どのスポーツを応援しに来たんですか?」とか、パラスポーツを知ることで会話の幅も広がるでしょうし。「お手伝いしましょうか」で、コミュニケーションが終わるんじゃなくて、もうひとつ先のコミュニケーションにつなげるためには、先ほども言いましたけど、障がいに対する理解を変えて深めていく必要があるのかなと思っています。
伊藤 東京パラまでの残り約5年で、まずはパラスポーツを知ってもらうことや、触れ合うことが必要になりますね。
三阪 はい。伊藤さんもそういった活動をされてると思いますが、実際に肌で触れて、理解してもらうと同時に、競技者にも少し触れてもらって、パラスポーツを身近に感じてもらうのは大事だと思います。これは草の根運動というか地道に、こういう現場レベルで選手だったり、当事者たちが訴え続けるしか方法はないので、だからこそひとりでも多くの方に参加してもらいたいなと思っています。ただただ大きな知識だけじゃなくて、こういう障がいのある人はこうされると転ぶとか、少しずつ理解の幅を広がるように、いろんな人たちに伝えていければと思っています。
(おわり)
【プロフィール】
三阪洋行(みさか ひろゆき)・写真右
1981年6月21日生まれ。大阪府出身。ウィルチェアーラグビー元日本代表。現在は千葉のBLASTというチームに所属しプレーする一方、代表ではアシスタントコーチを務めている。パラリンピックは、2004年アテネ、2008年北京、2012年のロンドンと3大会に出場。中学生で健常のラグビーを始めたが、高校3年生の時、練習中の事故から頸椎を損傷し、車いすの生活となった。その後、ウィルチェアーラグビーと出会い、ニュージーランド留学を経て、日本代表入りを果たしている。
伊藤数子(いとう かずこ)・写真左
新潟県出身。NPO法人STANDの代表理事。2020年に向けて始動した「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」では顧問を務めている。2003年、電動車椅子サッカーのインターネット中継を企画、実施。それをきっかけにしてパラスポーツと深く関わるようになった。現在、パラスポーツの競技大会のインターネット中継はもちろん、パラスポーツの楽しみ方や、魅力を伝えるウェブサイト「挑戦者たち」でも編集長として自らの考えや、選手たちの思いを発信している。また、スポーツイベントや体験会を行なうなど、精力的に活動の場を広げ、2012年には「ようこそ、障害者スポーツへ」(廣済堂出版)」を出版した。
連載【盛りあげよう!東京パラリンピック2020】
2020年東京パラリンピックを盛り上げ、楽しむために、これから何を準備すべきか、多くの人の言葉から探っていく。
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