【ミラノ五輪】アリサ・リュウ「金メダル破損事件」の背景 「サステナブル」はいいけれど......
2月6日に開会式が行なわれたミラノ・コルティナ五輪では、連日のようにさまざまなドラマが生まれている。眩しい舞台でアスリートたちが渾身の戦いを見せる。そこで何かを勝ち取る、勝ち取れないは、あまり関係ない。懸命な姿そのものがヒーロー、ヒロインである。
しかしながら、そんな彼らの感動に水を差すような出来事もいくつか起きている。
フィギュアスケート団体で金メダルを勝ち取ったアメリカ代表のアリサ・リュウは、はしゃいでジャンプしたとき、留め具が外れてしまい、リボンとメダルが別々になってしまったという。彼女は自身のインスタグラムでキュートな笑顔を振りまきながら、「私のメダルにリボンは必要ありません!」と発信。あくまで不満を訴えているのではなく、かわいく冗談めかしているので、むしろ癒される動画でもある。
フィギュアスケート団体で金メダルを獲得したアリサ・リュウ(アメリカ) photo by JMPA だが、メダルが破損してしまったケースは何もアリサだけではなかった。
アルペンスキー女子滑降で金メダルのブリージー・ジョンソン(アメリカ)、スキー女子複合20キロで銀メダルのエバ・アンデション(スウェーデン)、バイアスロン混合リレー銅メダルのユストゥス・シュトレロー(ドイツ)などが、それぞれが「メダル破損」を報告している。シュトレローは、みんなで喜び飛び跳ねている時に急にメダルが落下して損傷した模様で、直後に留め具とつなぎ直そうとして、本人は顔色を失っていた。
大会組織委員会はこの件に関して謝罪し、原因究明を約束する一方で、「一部の問題」とも言っている。しかし、メダルは選手たちが心血を注いでつかみ取った勲章であって、たとえひとつでもよろしくはない。それが複数あるということは、製品チェックのプロセスで何らかの欠陥があったということだ。
「サステナブルな設計、構造になっていた」
そんな説明もあるようだ。「サステナブル」というのは「リサイクル金属を用いるなど、環境負荷の低減を重視」を指し、どうやら留め具の部分が外せるようにもなっていたのがその理由だというのだが、リボンに対してメダルが重すぎるという指摘もあり、説明としては十分ではないだろう。
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著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

