競輪・犬伏湧也、苦難の果てに3度目で養成所合格 今永昇太の衝撃、大学中退、1年間の就職、涙した日を語る (5ページ目)
今後の最大の目標はGⅠでの優勝だ。次の開催は6月17日(火)~22日(日)の第76回高松宮記念杯競輪、その先は8月12日(火)~17日(日)の第68回オールスター競輪だ。「今はそこに向けてどう自分の体を作っていくかに意識を集中している」と虎視眈々と頂点を見据えている。
またS級S班となった今、その称号に恥じぬ走りも見せたいと考えている。
「SSになった時点から、四国(の選手たち)を引っ張っていかないといけないという意識はあります。ただ引っ張るというよりは、レースで後ろに着いてくれる人がしっかり信頼してもらえるような選手になれれば、自ずと引っ張って行けるのかなと思っています」
21歳から自転車に乗り始めた犬伏は、今年で30歳。プロ野球の夢を諦め、3回目の試験で合格して競輪界に飛び込み、今こうしてS級S班という最上位クラスで戦う激動の20代を過ごしてきた。そんな彼に「競輪は天職か」と最後に問うと......。
「天職だと思います。優勝できたときにはやってきてよかったと思いますし、まだまだ課題はありますが、その課題も少しずつですけど、クリアできているというところが、やっていて面白いなって思います」
課題を克服した暁には、どんな選手へと変化を遂げているのだろうか。"怪物"という言葉には「得体の知れない」という意味が含まれているが、今の犬伏にはきっとまだ得体の知れない何かが隠されているということだろう。
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【Profile】
犬伏湧也(いぬぶし・ゆうや)
1995年7月22日生まれ、徳島県出身。小学2年から野球を始め、強豪高校に進学。4番バッターとして活躍する。大学でも野球を続けるが2年で中退し、競輪選手を目指す。日本競輪選手養成所に3度目の受験で合格。在所成績1位で卒業する。2021年にデビューし、翌2022年の「オールスター競輪」でGⅠ初出場を果たす。2023年5月のGⅠ「日本選手権競輪」で初のGⅠ決勝に進出し、2024年11月のGⅠ「競輪祭」では決勝で2着となる。2025年4月からS級S班として活躍中。
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