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競輪・犬伏湧也、苦難の果てに3度目で養成所合格 今永昇太の衝撃、大学中退、1年間の就職、涙した日を語る (4ページ目)

  • text by Sportiva

「一番きつい時期」を振り返る犬伏 photo by Takahashi Manabu「一番きつい時期」を振り返る犬伏 photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る

【目標はGⅠ優勝】

 競輪選手を目指してから4年間のさまざまな思いを持って向かった養成所は、犬伏にとって、希望と自己実現の場だった。「自分の力がどれだけ通用するのか、楽しみのほうが大きかった」というように、養成所での規律ある生活やハードな訓練はむしろ望むところだった。

「野球ではもっと厳しい環境でトレーニングをしていたので、自分を鍛えるためにはちょうどいい感じかなと思っていました」

 結果的に競走訓練48回の出走で32回1着を獲り、在所成績で1位となった。養成所で過ごした約10カ月間を「わりとすぐに終わった」とさらり言ってのけるほど、他を圧倒しての卒業だった。

 2021年5月にデビューすると、その年には早くもS級2班に昇級。翌2022年のオールスター競輪でGⅠ初出場を果たし、GⅠ初勝利も手にした。現在に至るまで順調すぎるほどの競輪人生を送っているが、そんななかでもうまくいかない時期もあった。

「去年(2024年)は前半が悪くて、そこはきつかったですね。後半はなんとか巻き返しはできたんですが、僕は1年間安定した走りをしたいので、そこが課題ですし、その難しさを感じましたね。その前までは勢いで行けていた感じはあったんですが、やっぱり警戒もされてきました」

 2024年の前半は決勝に進めない開催が続き、成績も安定しなかった。しかし7月に地元・小松島競輪場で開催されたGⅢ「阿波おどり杯争覇戦」での優勝がきっかけで気持ちに変化が生まれて徐々に復調。そして10月のGⅠ「寛仁親王牌・世界選手権記念」が転機となった。

「最終日、小倉さんと橋本強さん(愛媛・89期)と連係したんです。相手が深谷さん(深谷知広/静岡・96期)と雨谷さん(雨谷一樹/栃木・96期)との三分戦()だったんですが、しっかりと先行できて、自分が1着で入れました。そこからよくなったような感じがありました。師匠を後ろに連れるというのは緊張することなんですが、毎回ああいうレースができると、GⅠにも生きてくると思いました」
※レース中に一時的に組むチーム(ライン)が3つ存在するレース

 その直後のGⅢ「万博協賛ゴールドカップレース」でも優勝を手にし、さらに11月の「競輪祭」で自身GⅠ最高位となる2着に入った。

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