カーリング女子日本代表・上野美優が語るオリンピックへの想い「改めて考えさせられました」 (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro

――世界選手権において、そういう点で参考になりそうなチームや選手はいましたか。

「戦術というより、私はもともとアリナ・パッツ選手(スイス代表)が好きなんです。とにかくフォースで決め続けることがすごいなと思っていて。今回、世界選手権で初めて試合をしたのですが、日本戦でのショット率はほぼ100%。スイス代表全体の、氷が変化するなかでの安定感や、パッツ選手がチームに与える安心感みたいなものは、やっぱりすごかったですね」

――スイス代表と再戦するためにも、日本選手権での勝利がまた求められます。今回は横浜開催となります。

「私の会社の本社が所沢にありますし、関東には親戚がいるので、1試合でも多く試合をして、多くの方に見てもらいたいと思っています」

――上野選手は大学卒業後、昨季から社会人カーラーとなっていますが、働きながら競技を継続することで、ご自身の意識に何か変化はあったりしますか。

「日本にいる時は半日働いて、そのあとに練習に行くといったスケジュールが多いのですが、シーズンが始まって海外遠征や合宿が続くと、どうしても出勤できない期間もあるんです。でも、そのあと会社に行くと、同僚のみなさんが『おめでとう』とか『頑張ってね』と声をかけてくださって。仕事を始めて、身の回りに応援してくれる人が増えて、それがまた心の支えというか、『頑張ろう』っていう気持ちになります」

――いい職場のようですね。

「お給料をいただきながらカーリングができる、ということの環境のよさだったりとか、応援してくれる方々の存在は本当にありがたいです。ただその分、その環境を生かすも殺すも自分次第だなと、そこは強く意識しています。きついトレーニング時でも『この時間もみんな、仕事をしているんだから、私も頑張らないと』と思えるようになりました」

――最後に、横浜で開催される日本選手権へ向けての抱負を聞かせてください。

「大きい会場で試合ができるので、まだあまりカーリングを知らない方や、テレビでしか見たことがない方に来ていただきたいですね。会場で『実際はこういう感じなんだ』っていうのを知ってもらい、興味を持っていただけるようないい試合をして、またそこから『今度は軽井沢に(試合を見に)行ってみよう』と思ってもらえたら、うれしいです」

(おわり)

SC軽井沢クラブの上野美優(左)と妹の結生(右) photo by Fujimaki GohSC軽井沢クラブの上野美優(左)と妹の結生(右) photo by Fujimaki Gohこの記事に関連する写真を見る上野美優(うえの・みゆ)
2001年3月12日生まれ。長野県軽井沢町出身。SC軽井沢クラブ所属。9歳でカーリングを始め、日本女子大在学時の2022年に出場した世界ジュニア選手権で、日本カーリング界初となる金メダルを獲得。次世代のエースとして注目を集める。2024年には日本選手権、ミックスダブルス選手権を制覇。女子選手としては初めて同一シーズンでの二冠を達成した。シチズン時計マニュファクチャリング株式会社勤務。趣味はカメラ。

フォトギャラリーを見る

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る