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フォルティウス・近江谷杏菜と小野寺佳歩が語る、日本カーリング界の成長「あなたは投げる人ですか?」なんて聞かれた (4ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro

――カーリング選手としての特性はいかがでしょうか。

近江谷 バイス(スキップ)をやってくれていますが、ラインコールは上手ですね。

小野寺 そう。一緒にやってみて「あっ、うまい子だな」ってすぐにわかった。

近江谷 私たちがどれだけ体を鍛えて、強いスイープを持っていても、コールが正しくなければ(宝の)持ち腐れになってしまう。そこを、うまく生かしてくれています。

小野寺 どうやってハウスとスイーパー陣とをつなぐかとか、いろいろと考えながら取り組んでくれているのが見えるのは、心強いです。

――続いて、小谷選手。今季は吉村紗也香選手が産休に入って、その穴を埋める形でフォルティウスに加入。シーズン開幕時には「人生初のスキップなんです」と、本人は少し硬くなっている様子がうかがえました。

小野寺 新しいチームに入るだけでも緊張するのに、(経験のない)スキップを任されるなんて、大変ですよね。私なら、できないと思います。

近江谷 優奈ちゃんが「緊張して寝られない」とか言っていたから、「軍隊式入眠方法っていうのがあるらしいよ」って、みんなでいろいろと調べたりしたよね(笑)。それはともかく、これまでのチームをきっと尊重してくれていて、技術的な部分でも合わせてくれた。私たちもそれを感じ取れて(お互いに)歩み寄ることができるのかな、とは思います。

小野寺 慣れないスキップかもしれないけれど、"ここぞ"というショットを決めてくれる強さもあって。投げる前から「決めるだろうな」という雰囲気が出ている時があります。

近江谷 戦術面では、これまでややディフェンシブだったフォルティウスのスタイルのなかに、(小谷選手が前所属の)富士急でやっていた攻撃的なカーリングを提案してくれることもあって、そこのバランスがうまく取れたら、チームとしての"引き出し"がまた増えるのかな、という手応えがあります。

小野寺 あとは、弓枝ちゃんも、さや(吉村)も、彼女をすごくサポートしてくれていて。

近江谷(チームが)カナダ遠征に出ていても、日本にいる弓枝ちゃんがずっとアドバイスをしてくれていたし、さやは個別に電話をして、チームの細かいことを優奈ちゃんに伝えてくれたと聞きました。

 特に今年は、クラウドファンディングに挑戦したりと、どう転ぶかわからないシーズンでしたが、ここまで充実した強化ができたのは、そうやってチームで助け合うことができたからだと思います。

(つづく)◆フォルティウスをサポートする豪華な面々>>

近江谷杏菜(おおみや・あんな)
1989年10月12日生まれ。北海道北見市出身。10歳でカーリングを始め、ジュニア時代から各大会で好成績を収める。2008年1月、チーム青森の正式な一員となって20歳の時に2010年バンクーバー五輪に出場。1998年長野五輪の日本代表だった父・好幸さんとの父娘での五輪出場を決めた。2014年から北海道銀行フォルティウス(当時)に加入。小野寺佳歩らとともに2度の日本選手権制覇(2015年、2021年)に貢献した。趣味は「韓国ドラマの流し見。今見ているのは『ペントハウス』です」。札幌のどうぎんカーリングスタジアム付近のお気に入りスポットは「もちろん『いわい珈琲』」。加茂川啓明電機勤務。Instagramはこちら>>

小野寺佳歩(おのでら・かほ)
1991年11月11日生まれ。北海道北見市出身。13歳でカーリングを始め、常呂中時代には現ロコ・ソラーレの吉田知那美や鈴木夕湖らとともに各大会で活躍。2006年日本選手権では3位入賞を果たした。一方で、七種競技などでインターハイ出場を果たすなど陸上選手としても奮闘。中京大学体育学部へ進学後は陸上とカーリングを両立し、2011年に新チームとして発足した北海道銀行フォルティウス入り。2014年ソチ五輪に出場した。趣味は筋トレで「最近はお尻からハム(ストリング)にかけて鍛えています」。札幌のどうぎんカーリングスタジアム付近のお気に入りスポットは「『ひだまり 月寒店』です。チームでよくランチします」。北海道電気保安協会勤務。Instagramはこちら>>

◆撮影協力:いわい珈琲

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