「生まれ持ったものが違う」プロビキニ選手・MIHARUが感じた世界の壁 それでも表現したい「体を鍛えることの幸せ」

  • 武松佑季●取材・文 text by Takematsu Yuki
  • 田中 亘●撮影 photo by Tanaka Wataru

MIHARU インタビュー中編(全3回)

 日本人女性で初めて国際団体・IFBB(国際ボディビルディング・フィットネス連盟)のプロカードを取得した、プロビキニアスリートのMIHARUにインタビュー。海外のコンテストへの出場経験もある彼女は、世界のフィットネスシーンをどう感じたのだろうか。中編では、日本のフィットネスアスリートがぶつかる世界の壁について、話を聞いた。

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【「生まれ持ったもの」の差を補うのは?】

ーープロビキニアスリートとして国内外のコンテストやショーに出場した経験があるMIHARUさん。世界との壁を感じることは?

MIHARU(以下同) ひとつは言葉の壁です。大会前日の選手ミーティングでのインタビューやファンとのミートアップ、審査基準の説明、ジャッジとフィードバックはすべて英語。

 さらに、外国人コーチをつけて、外国人ジャッジにステージ上で見てもらえるように自分を売り込みにいく。そこまでして初めてステージに上がれるようなものだから、自己主張や英語が苦手な場合は、そこでまず壁にぶちあたります。

ーーMIHARUさんはもともと英語が得意だった?

 得意ではないですが、競技を始める前から海外にはちょこちょこと行っていたので、最低限の英語はしゃべれましたね。

ーー体格や骨格の面でも苦労しそうです。

 海外のプロ選手は見れば見るほど骨盤の向きが前傾。前傾だとお尻やハムストリングに刺激を入れやすくて鍛えやすい。ビキニって、そこが露骨に評価基準に関わってくるから、そういう面では不利だと思うことはたくさんあります。

 それにビキニはトータルパッケージで見られるから、顔の大きさ、腰の高さといった「生まれ持ったもの」がものすごく影響されるんです。プロの国際大会になってくるとアジア人、とくに日本人は骨格的に華奢で足も短いから厳しい。もちろん、ポージングの丁寧さといった日本の選手が優れている面もあります。

ーー10月15日までスペインで開かれていた国際大会「IFBB アーノルド・クラシック・ヨーロッパ」で、安井友梨さんがフィットモデルの部で総合優勝しました。これはどのくらいスゴいことなんですか?

 アマチュアの大会にはなりますが、「アーノルド・クラシック」の名前を冠したコンテストで、日本人が優勝するのは前代未聞ですね。

 しかも、安井さん本来のカテゴリーであるビキニフィットネスだけじゃなく、フィットモデルでも出場して優勝。カテゴリーによって審査基準が違うから、ポージングやヘアメイクを使い分けなくてはいけなくて大変なんです。それなのに、しっかりと調整して結果を出すあたりはさすがだと思いました。

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