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世界1位の日本フェンシング・男子フルーレ アジアでの敗戦をパリ五輪に生かせるか (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO SPORTS

【東京五輪エペ優勝の裏で、積み重ねた実力】

 2008年北京五輪・太田雄貴の銀メダル獲得で注目されるようになった日本の男子フルーレ。2012年ロンドン五輪では、団体で銀メダルを獲得したが、その後は若手が伸び悩み、2016年リオデジャネイロ五輪は太田の個人戦出場のみとなっていた。

 しかし、2014年世界ジュニアで西藤俊哉(セプテーニ・ホールディングス)が3位になったのを機に、1996~98年生まれの選手たちが台頭。2016年世界ジュニアでは敷根と松山、西藤、鈴村の団体で初優勝、個人でも活躍し始めた。

 さらに、2017年はシニアの世界選手権で西藤が2位、敷根が3位と一気に開花。対戦相手に研究されるようになって足踏みをした時期もあったが、東京五輪の団体は開催国枠ではなく、実力で出場権を勝ち取った。男子エペの団体優勝の陰に隠れてしまったが、フルーレ団体で4位、個人でも敷根が4位と、結果を残していた。

 昨年からは、その世代に加えて2003年生まれの飯村が団体のメンバーに食い込んできて層が厚くなり、今年の世界選手権では団体初優勝を果たすまでになった。

 今年の世界選手権個人で3位になり、現在世界ランキング10位とチームを引っ張る松山は、冷静に自分たちを見つめている。

「僕個人としては東京五輪の男子エペの優勝や、自分の世界選手権個人3位、団体優勝はもう過去のことだと思っています。一番大事なのは日々成長することと、しっかり自分のパフォーマンスに集中すること。やることは変わらないし、周りと比較することはないです」

 その言葉の奥には、自分たちが積み上げてきた実力への自信がある。

 パリ五輪団体の出場枠は、開催国枠を除いて「8」。来年4月30日終了時点の世界ランキング4位以内なら出場権を獲得する。5位以下の場合は各大陸最上位が五輪に出場できる。日本が現在世界ランク現在1位だが、5位に中国、6位には香港、8位には韓国がいて、今後の結果次第で順位が変動する厳しい戦いが控えている。しかし、今大会の敗戦で得た糧も積み重ねて、日本男子フルーレの選手たちの姿勢にブレはないようだ。

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