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名古屋場所で好発進を決めた一山本。錣山親方がその強さの秘密を徹底解剖 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 ここ半年以上、彼を見ていて感じるのは"体に張りがない"ということ。さらに、実況アナウンサーは「正代の体重が5kg痩せている」と言っています。

 私も現役当時、初日に114kgあった体重が10日目には102kgに激減していた、ということがありました。詳しいことはわかりませんが、力士というのはちょっとしたことでペースを崩しがち。もしかすると、精神的な悩みを抱えているかもしれませんし、注意深く見守っていきたいと思います。

 ところで、この場所が始まる前に元小結の松鳳山が現役引退を発表しました。

 松鳳山は突き押し相撲が得意で、若い頃は「負けん気が強い力士だなぁ」という印象がありました。身長176㎝、体重133kgと決して大きな体ではありませんでしたが、38歳まで関取を務めたことは立派だと思います。

 聞いたところによると、本人は「40歳まで相撲をとりたい」という目標があったそうです。実は私も現役時代、心のなかで「40歳までとりたい」と思っていましたが、それを口に出してしまってから、「40歳」という数字がプレッシャーになってしまいました。目標の数字を設定することは一見いいように思われますが、一方で"守り"に入ってしまうこともあるのです。結局、私は39歳8カ月での引退となってしまいました。

 松鳳山も38歳で引退することになってしまいましたが、社会のなかでは38歳はまだ若手です。相撲界には残らずに別の道に進むようですが、自らが望む新たな世界で頑張ってほしいと思います。

錣山(しころやま)親方
元関脇・寺尾。1963年2月2日生まれ。鹿児島県出身。現役時代は得意の突っ張りなどで活躍。相撲界屈指の甘いマスクと引き締まった筋肉質の体つきで、女性ファンからの人気も高かった。2002年9月場所限りで引退。引退後は年寄・錣山を襲名し、井筒部屋の部屋付き親方を経て、2004年1月に錣山部屋を創設した。現在は後進の育成に日々力を注いでいる。

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