自転車転向2年余りの太田海也がデビューから6戦全勝の快挙。ナショナルチーム入りに「大きく羽ばたける舞台に立てた」

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

競輪デビューから6戦全勝中の太田海也競輪デビューから6戦全勝中の太田海也 競輪界期待の新人、太田海也がデビューから圧倒的な強さを見せている。プロ初舞台となった1月20日~22日の小倉競輪で3連勝。続く1月29日~31日の別府競輪も完全優勝と、ここまで6戦全勝だ。

 大学を中退するまで、ボート競技で活躍し、その後、自転車へと転向した太田。2021年5月に倍率5~6倍とも言われる難関を突破して日本競輪選手養成所に入所すると、直後の記録会で並み居る自転車競技経験者たちを上回る記録で、「早期卒業」の基準をクリア。大器の片鱗を見せた。

 71人いる同期候補生のなかで、早期卒業は太田と中野慎詞の2名のみ。自転車のキャリアは2年あまりながら、プロで勝利を重ねている姿は驚異のひとことである。

「12月の全日本トラックで転倒して右鎖骨を骨折したのですが、ナショナルチームのメディカルスタッフにサポートしていただいたおかげで、問題なくデビューすることができました。まずはそのことに感謝したいですね。プロとして周囲からも『頑張れよ』『期待しているぞ』と声をかけられ、競輪選手になった実感が湧いてきました」

 22歳の怪物はこう話した後、「デビュー戦はもちろん緊張しましたよ」と付け加えた。早期卒業の大物ルーキーを取材すべく、メディアが詰めかけ、ファンの期待も集まった初戦。「プレッシャーを感じた」と言うが、同時に現実をしっかり受け止め、冷静に自分の心と対話することに努めた。

「なぜ緊張するのか。それは自分が勝ちたいからですし、期待されているのがわかるからです。そして今、自分が立ちたいと願っていた場に立ったんだということを改めて確認しました。自分の心と、立ち位置を確認すると、そこにギャップがないとわかり、緊張感さえ楽しくなったんです。そうすると気持ちもほぐれてきて、平常心で走ることができました」

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