上村愛子が日本女子モーグルの強さに迫る。金メダルが期待されるネクストヒロイン川村あんりのすごさも語った (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • photo by Ezra Shaw/Getty Images,Yohei Osada/AFLO SPORT

――ところで、川村選手をはじめ、今回の代表選手たちは、里谷多英さんや上村さんの影響を受けてモーグルを始めたり、おふたりを尊敬している選手ばかり。つまり、おふたりが土台を築いたことによって生まれた"最強"の日本代表。先駆者として、感慨深いものがあるのではないでしょうか。

「そうですね......『(今の日本のモーグル界を)自分が作り上げました!』なんてことはとても言えません(苦笑)。でも客観的に見て、日本のモーグルの歴史は(里谷)多英さんの長野五輪での金メダルから始まったと思います。それ以降、『モーグル』『女子』『強い』といった感じで注目されて、私と多英さんの時代で長い間日本のモーグル界を引っ張ってこられた、というのはあるのかな、と。

 そういう歴史があって、男子チームも発奮して『自分たちもやるぞ!』となり、原(大智)選手や堀島(行真)選手たちが出てきた。女子も、あんりちゃんという世界のトップで戦える選手が出てきて、選手層が厚くなった。自分が一生懸命やってきたことで、そういう選手たちに少しでも影響を与え、彼ら、彼女らが今、世界トップレベルで活躍しているというのは、すごくうれしく思います」

――少し前に里谷さんにお話を聞く機会があったのですが、引退してからはおふたりでよく食事をしたりしているとうかがいました。

「現役の時も(ナショナルチームなどで)一緒に活動している際にはともに食事をとることはあったんですが、それぞれ(個々にやるべき)練習がありましたから、ふたりでゆっくり食事をする機会はなかったですね。でも引退すると、結構自由な時間がありますから。

 実は引退して、初めてお互いにどう思っていたのかという話をする機会もあったんですよ。私は『多英さんが五輪に合わせてくるところがうらましいと思っていました』という話をしたら、多英さんは『私は愛子のように、ずっといい状態をキープできない。五輪だけは頑張らないと翌年からスキーできなくなるから、背水の陣でやっていた』というような話をしてくれたりして」

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