上村愛子が日本女子モーグルの強さに迫る。金メダルが期待されるネクストヒロイン川村あんりのすごさも語った (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • photo by Ezra Shaw/Getty Images,Yohei Osada/AFLO SPORT

――上村さんは現役時代、雪面にエッジを立てて切り込むように滑るカービングターンを得意としていました。川村選手のターンはそれとは異なると言われていますが、彼女のターンをどう分析していますか。

「あんりちゃんのターンは、完全なカービングターンではありません。もともとは板をスライドさせて滑っているんですけど、カービングの練習をしてきたことで、以前と比べるとスライドする方向がなるべくフォールラインに向くような形で滑り降りてこられるようになっています。

 スタートからゴールまでカービングでいくと、滑り降りるなかで板が弾かれてしまったり、ミスが生じてしまったりする可能性が高くなります。そうなると優勝は難しくなりますが、あんりちゃんの場合はカービングとスライドのよさをうまく合わせたハイブリッドな滑り方をしているので、確実にターン点を得ることができると思います」

――五輪に限らず、世界で戦ううえで、スキーの技術以外に必要なことはありますか。

「私が現役時代、もう少しやっておけばよかったなと後悔したのは英会話でした。海外で戦っているとFIS(国際スキー連盟)の取材を受けたりするのですが、英語のインタビューが苦手でしたから(苦笑)。英語ができれば、緊張してしまう場面も減りますし、(海外の)選手やコーチともいろんな話ができ、もっとお互いを理解できたと思います。ですから、後輩たちには『英語は喋れたほうがいい』という話をしたことがあります」

――川村選手はどの程度英語を喋れるのでしょうか。

「これが、めちゃくちゃうまい! FISのインタビューでもさらっと受け答えしています。深い話をしているのは聞いたことがありませんが、インタビューでは海外の10代の女の子が楽しそうに喋っている感じで、流暢に英語を話しています。

 あんりちゃん世代の子たちにとっては、英会話は身近な存在なのかもしれませんが、世界一になるためには大事だと考えて、あんりちゃんは金メダルを獲得した時、英語のインタビューがあることを想定して、王者としてきちんと言葉を紡げるように努力しているということもあると思います。その意識の高さには、尊敬しかありません」

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