上村愛子が日本女子モーグルの強さに迫る。金メダルが期待されるネクストヒロイン川村あんりのすごさも語った (5ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • photo by Ezra Shaw/Getty Images,Yohei Osada/AFLO SPORT

 それに今回は、あんりちゃんが世界ランク1位なので1番のゼッケンをつけて滑ることになります。五輪を前にして世界ランクを上げたことは、トップに立つ力があることを証明したことになり、戦ううえでは大きなアドバンテージになるはずです」

――五輪という特別な舞台ではW杯とは違って、対応が難しいことなどもいろいろとあると思いますが、いかがですか。

「五輪は、会場入りの方法や、W杯とのタイムスケジュールがかなり違います。ですから、調整や準備をするタイミングも違ってきます。それによって、ふだん戦っているW杯と同じようなルーティンで戦いたいと思っていた私は、五輪の舞台にパフォーマンスを合わせることが難しかった時期があります。

 あんりちゃんは、W杯の時は男子の練習の滑りを見てヒントを得ている部分も少なからずあると思うので、今回は本番までそれを見ることができません。そういったところを、ヤンネ(・ラハテラ)コーチとどうクリアしていくのか。そこはひとつ課題となりますが、余計なことを考えずに自信を持って滑れば、自ずと結果はついてくると思いますし、メダルは間違いないのではないでしょうか」

――そうなると、川村選手は17歳で天下を獲ることになりますね。

「北京五輪で金メダルを獲っても、私はそこがあんりちゃんの完成形ではないと思っています。おそらく、彼女自身もそこで満足することはないでしょう。まだ17歳ですし、自分の技術をさらに高めて、進化させて、誰も勝てなくなるような選手を目指してほしいと思っています」

(男子編:堀島行真の斬新な取り組みとポテンシャルの高さ>>)

この記事に関連する写真を見る上村愛子(うえむら・あいこ)
1979年12月9日生まれ。兵庫県出身、長野県育ち。アルペンスキーからモーグルに転向。18歳で1998年長野五輪(7位入賞)に出場して一躍脚光を浴びる。以降、五輪には5大会連続で出場。W杯通算10勝(モーグル9勝、デュアルモーグル1勝)。2008年には日本モーグル史上初の種目別年間優勝を飾った。2014年に現役を引退。現在はスキーフリースタイル普及のため、次世代の選手育成にも力を注いでいる。

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