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「心から相撲を愛しています」大横綱・白鵬が語る、自らの土俵人生と今後 (3ページ目)

  • 武田葉月●取材・構成 text&photo by Takeda Hazuki

 旭天鵬関が将来を考えて帰化しようとした時、モンゴル国内ではバッシングが起こったことがありました。モンゴル人にとって、国籍を変えることはそれほど重要なことで、国民の大きな関心事であることは、私も理解していました。

 2018年に亡くなったモンゴルの父とも、その件に関しては話し合いました。

 旭天鵬関同様、私も国籍はどうあれ、モンゴル出身というスピリッツは変わらないと考えていました。私が、日本人「白鵬翔」になったことが発表されたのは、2019年9月のことです。

 この年は直前の名古屋場所限りで、宮城野部屋所属で私の髷をずっと結ってくださった、床山の床蜂さんが定年退職されました。髷を結っていただく時間は、私にとって本当にリラックスできましたし、大先輩にもかかわらず冗談を言い合う仲でもありました。

 何気ない会話の中から、学ぶことも多かったですね。本当にたくさんの方に支えられてきたのだなぁ、と改めて実感しています。

 今振り返ってみると、私の相撲人生は5つの時代に分けられると思います。

 第1期が、若手でこれから大関、横綱を狙おうという時。
 第2期は、横綱・朝青龍関と横綱を張っていた時。
 第3期は、ひとり横綱でいた時。
 第4期は、日馬富士関、鶴竜関(現・鶴竜親方)、稀勢の里関と4人で横綱を張っていた時。
 そして最後が、またひとり横綱に戻り、若手と対戦して、後輩の照ノ富士が横綱になった時期。

 21年間の土俵人生はアッという間だったような気がしますが、照ノ富士という後輩横綱が誕生したことは、本当にうれしいことです。

 そして、どの時代もそうなのですが、私は土俵では強く、土俵の外ではみんなに優しい人間でありたいと思っていました。

 土俵上は戦いの場ですから、優しさはいらない。土俵の上に立ったら、鬼に徹しなければ......。優しさと厳しさを合わせ持つ、2人の白鵬が心のなかにいたんです。なかなか理解してもらえないかもしれませんけどね。

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