スピードスケート・小平奈緒、五輪連覇へ本能の滑りにシフトチェンジ。「そろそろ考えるのをやめてみようかな」 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AP/AFLO

 こう話す小平は、前日より後半のラップタイムがわずかに遅くなった理由をこう振り返る。

「100mがいけちゃった分、考える頭が途中から出てきてしまったと思います。感覚だけでいくという100mの滑りができたのは、あまり記憶にはないけれど、平昌五輪の本番の時以来だと思います。

 でも今はあの時のように極限まで自分の感覚が研ぎ澄まされている状態ではないので。これから自然と感覚に身を任せられる状態に持っていけたらいいと思います」

 2019年にソルトレークシティーで36秒47の日本記録を出した時は、100mの通過が10秒27だった。そこまでにはもう一歩だが、「平昌シーズンの時のような本来の状態に戻ったら、そのあとに積み上げてきたスケーティングがあるので、もしかしたらまた新しいものが見えてくるんじゃないかなと思います」と期待を膨らませる。

「昨シーズンは国際大会もなかったので技術的なことを言葉にする機会は少なかったですが、今年はけっこうレースが終わってから考えるという繰り返しでした。だから年明けくらいからは、そろそろ考えるのをやめてみようかなと思っているんです」

 北京五輪へ向けた、"小平奈緒の本能の滑り"にシフトする準備はできてきた。

 ゴリコワやオルガ・ファトクリナ(ロシア)がレベルを上げてきて、ジャクソンのような新生も登場して厳しい戦いになりそうな今季。小平の五輪連覇へ向けた準備は徐々に整い始めている。

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