2021.11.06

竹﨑由佳アナが振り返る2021年スポーツ名場面。「同じ女性としても憧れます」と語る選手とは?

  • 佐藤主祥●取材・文 text by Sato Kazuyoshi
  • 立松尚積●写真 photo by Tatematsu Naozumi

テレビ東京・竹﨑由佳アナウンサー
インタビュー【前編】

テレビ東京のスポーツ番組の顔として活躍する竹﨑由佳アナウンサーテレビ東京のスポーツ番組の顔として活躍する竹﨑由佳アナウンサー この記事に関連する写真を見る 『追跡LIVE!SPORTSウォッチャー』『FOOT×BRAIN』『卓球ジャパン!』(BSテレ東)など、数々のテレビ東京のスポーツ番組を担当する竹﨑由佳アナウンサー。今年は東京五輪キャスターを務め、視聴者にさまざまな競技の情報・感動を届けてきた。そんな彼女が、第一線で活躍するアスリートたちへの取材を行なってきた視点から、心に残った2021年のスポーツ名場面をピックアップ。番組を通じてスポーツの現場に携わってきたからこそ抱いた想いを、存分に語ってもらった。

──今年は東京五輪・パラリンピックを中心に、さまざまなスポーツシーンがありました。そのなかで、竹﨑さんが選ぶ名場面を教えてください。

 特に心に残っているのは、東京五輪の卓球女子シングルス3位決定戦、伊藤美誠選手が銅メダルを獲得して、試合後のインタビューで悔し涙を浮かべたシーンです。同種目においては日本女子初のメダルですし、紛れもなくすばらしい結果だと誰もが思いますよね。しかし、本人は「中国人選手を倒して金メダル」という目標を掲げてきましたから、準決勝で同い年でライバル関係でもある孫穎莎(スンイーシャ)選手にストレートで負けてしまった結果には、相当な悔しさがあったと思います。

 伊藤選手は、水谷隼選手がついていけないぐらいの練習をすることで知られていますが、五輪期間中も混合ダブルスを含めてものすごい量の練習をしていて。足の裏の皮がベロっとめくれ上がるぐらい追い込んでいたらしいんですよ。解説者の平野早矢香さんが「こんな卓球選手見たことない」と話すぐらい、満身創痍の状態で戦っていたんです。基礎練習を山ほど積んできた姿を私も実際見てきたので、「ここまでしてもダメなのか......」と。歴史的快挙のはずなんですけど、どこかやりきれない気持ちがあって、ちょっと落ち込んでしまいました。

──番組を通じて伊藤選手をずっと追いかけてきたからこそ、うれしさより、悔しさが残った場面を挙げたわけですね。

 はい。福原愛さんも「伊藤選手の心情を考えると、おめでとうとはまだ言えない」と話していて。本当にそのとおりだなと思いましたね。

──水谷選手と組んだ混合ダブルスでは、中国人ペアを倒しての金メダル獲得を達成しました。

 そうですね。決勝戦は見ている全員が熱くなり、心踊った試合だったんじゃないでしょうか。あのふたりだからこその金メダルだと思いますし、中国に勝つことは夢ではないんだと、他の日本人選手たちは感じたはず。今後の若い選手たちに期待が高まりますね。

──さらには女子団体で銀メダルと伊藤選手は3種目でメダル獲得。石川佳純選手においては同種目で3大会連続の表彰台となりました。

 伊藤選手の活躍はもちろんですし、団体でのチームワークのよさは石川選手が中心にいたことが本当に大きかったと思います。彼女もリオ五輪のシングルスでは初戦敗退してしまって、この5年間は相当な覚悟を持って試合に臨んでいました。ですが、若手の台頭が著しく、日本卓球界のなかでは一気にベテランと言われる領域に入り、きっと焦りもあったんじゃないかと思います。そのなかでも今年1月の全日本選手権で伊藤選手を破って優勝し、「やっぱり石川佳純は強いんだ」ということを証明してくれました。そして今回の東京五輪。この銀メダル獲得までのストーリーを見ていると、石川選手とは同世代なので、「まだまだ私も頑張れる」って思えるんです。本当に強くてかっこいいので、同じ女性としても憧れます。

 改めて振り返ると、平野美宇選手を含め、彼女たち3人とも五輪代表争いから想像を絶するほどの過酷な戦いを続けてきました。それを思い返すだけで目頭が熱くなっちゃいます。表彰台に3人が立てて本当にうれしい気持ちでいっぱいです。

──ぜひ卓球男子についてもお聞かせください。

 張本智和選手と丹羽孝希選手は、シングルスでともに4回線敗退と悔しい思いをしましたよね。特に張本選手は、初出場の五輪で少し硬くなっていた部分もあったと思います。それでも団体で試合を重ねるにつれてどんどんプレーの内容がよくなっていきましたし、スウェーデンとの準々決勝で、2019年以来に丹羽選手とダブルスでペアを組んだんですけど、そのあたりから表情がほぐれてきたように見えましたね。そういう姿を見ていると、「人って、大会のなかでも成長していくんだな」と感じました。3年後のパリ五輪も楽しみになるような試合でしたね。