星野リゾート代表がスタッフのオリンピアンに助言。競技のことは「いったん忘れろ」。その理由とは? (3ページ目)

  • 村上佳代●文 text by Murakami Kayo
  • 布川航太●撮影 photo by Nunokawa Kota

【スポーツで限界を超えた経験が、自信を生む】

遠藤 先ほど話に出た、コロナ禍でも「会社は大丈夫」と言い切るという話。当然、緻密な戦略があるうえでだと思いますが、それでも自信を持って言い切るのは難しいですよね。

星野 実は、ピンチのときに危機感は持ちますが、もうダメだと思ったことはないんです。体育会で培ってきた「限界を超える力」が経営者としての自信につながっているのだと思いますね。

 追い込まれた状態でさらに限界を超えるためにどうすればいいか考える。疲れきった体でさらにトレーニングをする。スポーツをとおしてこれまでに何度も、無理やりに壁を乗り越えてきた経験があるから、「もう限界かもしれない」と頭をよぎっても、「いや、きっと乗り越えられる」と思い直すんです。そういう「根拠のない自信」が、経営者としての判断を下支えしていると思います。

遠藤 限界は自分が設定しているものにすぎず、必ず突破する方法があるはず、ということですね。

星野 「前も乗り越えられたじゃないか」と。限界を超えた経験が多いほど、確固たる自信が持てるようになると思います。

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