BMXの畠山紗英が東京五輪でのメダル獲得へ使命感。「出るだけでは意味がない」という理由 (3ページ目)

  • 佐藤俊●文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

「スタートは音を聞いて反応する選手と、シグナルで反応する選手がいます。私はシグナルを見るのですが、集中していないとスタートが遅れてしまいます。そのため、シグナルにタイミングを合わせるのと、自転車を漕ぎ出した時のフォームの練習をしていました。けっこう時間をかけてやったおかげで、最近になってようやく改善されたというか、うまくいくようになってきました」

 スタートさえしっかり切ることができればイケる──そういう自信が畠山の表情から読み取れる。スピードがあり、ジャンプのセクションは得意としているからだ。スタートを制することができれば、あとは抜かされないようにうしろに気を配りながら、自分の走りをしていく。レースは「ワクワクと楽しさでいっぱいです」と笑顔でそう語る。

 昨年6月、畠山は東京五輪のBMXレース女子の日本代表に決まった。五輪代表内定の朗報に、家族はもちろん、寒川町も歓喜した。

 神奈川の寒川町は畠山の地元だ。BMXが楽しめる「パンプトラックさむかわ」があり、昨年3月に畠山が帰国した際は、高さ4mのスタートゲートの練習台をつくるなど全面的にサポートした。

「寒川は地元で、いちばん安心できる場所。静かで落ち着いている感じが好きです。とくに好きな場所は寒川神社。小さい時から世界大会に出発する前は、いつもお参りに行っていました」

 家族、寒川町、BMXファンの応援を背に臨む東京五輪は、畠山にとってどういう大会になるのだろうか。

「特別ですし、興奮しますね。北京五輪で見てから、五輪の舞台に立ちたいと思っていました。それが日本だというのは奇跡的だなって思います。ただ、出るだけでは意味がない。日本ではBMXはマイナーなので、五輪を通してこの競技を広めていきたい。そのためにも金メダルを獲りたいと思っています」

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