ロコ・ソラーレ本橋麻里が振り返る10年。結婚、出産、メダル獲得、そして今 (4ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・構成 text by Takeda Soichiro
  • 藤巻 剛●撮影 photo by Fujimaki Goh

――「強化」と「普及」に関してはいかがでしょうか。

「カーリングは1998年長野五輪に正式種目となって、それから20数年が経ちました。今季から大澤明美さんや小笠原歩さんが協会の理事に就任したように、近年は指導者やサポートスタッフにも、オリンピアンや実績のある方々が就いてくれています。現場の風通しはよくなった気がしますし、実際に小学生の親御さんから『カーリングをやってみたい』と相談される機会が増えてきました」

――「普及」は進んでいる、と。

「そうですね。ただその一方で、世界を見渡して日本と比べると、ジュニア世代の強化面での課題が見えてきます。たとえば、平昌五輪で金メダルを獲得したスウェーデンや銀メダルの韓国では、ジュニア世代のチームがすでにワールドツアーの最高峰タイトルであるグランドスラム大会に出場を果たしています。日本のジュニア世代も能力の高い選手は多いので、ジュニア世代から世界トップレベルで戦える環境を作っていかなければいけないと思っています」

――そういう意味では、ロコ・ステラが日本選手権などに出場できれば、モデルケースになるかもしれません。

「はい。先ほど3本柱として挙げた育成、強化、普及は、それぞれが独立したものではなく、お互いがリンクしているのがベストに近い形です。私たちは地元密着のクラブチームなので、そこで"才能の種"のキャリアをスタートさせるのも役割のひとつです。芽が出たら、それを蕾に育てる。もちろん、そのまま常呂や北見で花を咲かせてくれるのが理想ですが、日本には実業団のチームや大きなスポンサーがついているすばらしいチームが増えました。『強くなりたい』と願っている選手は、どこを経由しても必ず世界へ出てくれると信じています。そのためにも、まずはロコ・ステラを国内トップレベルのアイスに立たせることは非常に重要なことです」

――第38回全農日本カーリング選手権(2021年2月/稚内)につながる予選で、ロコ・ステラはオホーツクブロックを突破しました。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る