2020.12.14

リオ五輪で失格→猛抗議して銅メダル獲得。日本を強豪に押し上げた男

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by PHOTO KISHIMOTO

PLAYBACK! オリンピック名勝負ーー蘇る記憶 第43回 

スポーツファンの興奮と感動を生み出す祭典・オリンピック。この連載では、テレビにかじりついて応援した、あの時の名シーン、名勝負を振り返ります。

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2016年リオデジャネイロ五輪競歩50kmで銅メダルを獲得した荒井広宙 少しずつレベルを高めてきた日本の競歩。世界陸上は、1991年東京大会の50km部門で今村文男が7位に入って以来、数大会ごとに入賞者を出してきた。五輪では、2008年北京大会の50㎞で山崎勇喜が7位で初入賞。その後、五輪の表彰台にはなかなか手が届かないままだったが、16年のリオデジャネイロ五輪は、競歩初のメダル獲得の期待がかかる大会だった。

 その前年、日本選手の活躍が光っていた。15年3月に鈴木雄介が全日本競歩能見大会兼アジア選手権の20㎞で1時間16分36秒の世界記録を樹立。日本男子50年ぶりの世界記録保持者としてトップに立った。

 同年8月の世界選手権では、鈴木は恥骨の炎症の影響で20kmを途中棄権したが、50㎞では谷井孝行が3位に入り、荒井広宙(ひろおき)は4位。日本競歩史上初のメダル獲得とダブル入賞を果たしていた。

 そして、16年8月のリオ五輪当日。午前8時、気温22度ながら強い日が差す中、スタートした50㎞は世界記録保持者のヨアン・ディニズ(フランス)が1周目から飛び出した。その後も1周(2㎞)8分50秒を切るハイペースでどんどん差を広げていった。