「水の呼吸」を意識する羽根田卓也。
何があってもブレずに高みへ突き進む

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

東京五輪は「一生に一度の五輪という位置づけ」と語る羽根田卓也東京五輪は「一生に一度の五輪という位置づけ」と語る羽根田卓也

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、東京五輪の延期が決まった。3月中旬ころから五輪延期が取り沙汰されていたが、そんな最中、カヌー日本代表として五輪出場を決めていた羽根田卓也の取材は行なわれた。

 延期となれば、五輪の代表選考はどうなるのか、アスリートにとっては不安な気持ちを抱くのは当然だ。気持ちが揺れ動くそんな時期ではあったが、羽根田は落ち着いた所作でソファに座り、リオ五輪後、目標にしてきた東京五輪に向けて想いを語り始めた。

 リオでの銅メダル獲得以降、羽根田はメディアの取材に対し、「目標を達成するための意識の強さが自分の強み」、「目標から逆算し、今何をすべきか考えるようにしている」と繰り返してきた。目標とは世界選手権やワールドカップを含め、まだ達成していない「世界一」であり、五輪での「金メダル」であることは言うまでもない。

 ではこの4年間、どのような意識を持ち、どんな取り組みを行なってきたのだろうか。

「リオの後は、自分に足りないものを周りの選手と比べながらトレーニングスケジュールを組み立て、こなしてきました。自分の強みを生かすことも大切ですが、その前に自分より上位にいる選手に比べて劣っている部分を分析して、そこを改善する必要があると考えたからです。それはスピード、そしてパワーというフィジカル面。この3年間はウエートトレーニングなどを中心に、その強化に努めてきました。

 成果はここ1、2年、自分自身でも感じています。そして今は長所である技術面や水の呼吸、フィーリングを読む部分に意識を置いて練習をしています」

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