新日程決定も課題いっぱい東京五輪。
「アスリートファースト」はどうなるか
新型コロナウイルスの感染拡大で延期になった東京オリンピック・パラリンピックが、五輪は来年7月23日(金)から8月8日(日)、パラリンピックは8月24日(火)から9月5日(日)となった。30日の同組織委員会の理事会の後、森喜朗会長らと国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が電話会談で決めたもので、ほぼ1年のスライドとなる。安全確保のための体制づくりや運営計画の見直し、経費の追加負担の精査、確保などを急ぐことになるが、「アスリートファースト」をどう守るのかも大事なこととなる。
東京五輪で開会式、閉会式が行なわれる予定の国立競技場 五輪出場を目指す選手たちにとっては「仕切り直し」といったところか。組織委の武藤敏郎事務総長は理事会(非公開)後の記者会見で、理事からの質問として、「既に代表内定した選手や候補が、来年に向けて強化を継続する必要が出てきた。JOC(日本オリンピック委員会)、JPC(日本パラリンピック委員会)がNF(国内競技連盟)と連携して、アスリートに安心感を与えるような予算をきちっと確保してほしい」との発言があったと説明した。
これに対して、武藤事務総長は「これは組織委の問題というより、JOC、JPCの問題でありましたので、JOC、JPCの方から、"しっかりやっていきたい"とのお話がありました。政府の方からも、しっかりと必要な予算の確保をしていきたいといったお話がありました」という回答をしたとのこと。
1年延期となることで、代表選手の取り扱いや、代表選考会の日程変更が課題となっている。東京五輪の日本代表は約600人となる見込みで、既に約100人が代表内定、もしくは代表確実となっている。
マラソンや卓球などでは代表選手の権利を守るとして「変更なし」との方針を打ち出している。これは妥当な判断だろうが、競技によっては、1年後のベストの選手で編成するということを考えると難しい面もある。また、この1年間、国内の"切磋琢磨"が弱くなるおそれも生まれる。
代表内定の選手を外すと、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴されることもありうる。そこで代表選手の了解を得た上で、今後、改めて選考会を、代表選手には何らかのアドバンテージを与えた上で実施するとかは考えられないだろうか。いずれにしろ、延期でも、透明、かつ公平な選考が求められる。重要なのはフェアかどうか、だ。
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