2019.12.17

小平奈緒が長野でスイッチON。
ロシア勢に後れをとっていたワケ

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

 11月中旬から始まった今季のスピードスケートW杯。ベラルーシ、ポーランドと2週続けて開催されたあと、1週あけて今度はカザフスタン、長野と2週連続の開催スケジュールだった。日本の有力選手たちが疲れを考慮して、第3戦のカザフスタンをスキップするなか、小平奈緒(相沢病院)は、すべての大会に出場していた。

疲労を感じさせない滑りを地元・長野で見せた小平奈緒 今季は500mと1000mに加えて1500mにも出場しているため、第3戦のカザフスタンまでは、3種目ともにフル出場。今回の長野大会には、帰国してからの調整期間は3日間しかなく、疲労もかなり溜まっている状態で臨んだ。

 それでも初日の500m第1レースでは、しっかり勝ち切る滑りを見せた。

 前の第9組で、今季、好調な滑り出しをしているロシア勢のダリア・カチャノワと、オリガ・ファトクリナが、37秒74と37秒77で1、2位に立った後のレースに登場した小平。

 前戦のカザフスタンでは敗れているアンゲリナ・ゴリコワ(ロシア)と同走だったが、100m通過は最速の10秒34。アウトレーンスタートでバックストレートからスピードに乗ってきたゴリコワに追い込まれ、最後の直線に入ったところでは若干リードされる形になったが、最後はしっかり差し返して0秒02差の37秒49で勝利。今季W杯2勝目をあげた。

「これまでの3戦で課題になっていたスタートの修正ができて、久しぶりにいいスピードで入れたのですが、最初のカーブで少しテクニックが間に合わなかったなというのがありました。

 今はロシア勢がすごく勢いがあるので、気持ちの入ったレースというか……。『競るってこういうことだな』と感じるレースでした。並ばれても最後のストレートでは絶対に負けない自信はあったけど、お互いにいいレースができたんじゃないかなと思っています」

 結城匡啓コーチはこのレースをこう解説する。

「インスタートだと半径が小さい最初のカーブは難しいのですが、久しぶりに10秒3台で入ってしまい、ちょっと対応できていなかったのだと思う。帰国してからはスタートの構えるところの意識から、ドンと鳴った後に意識的な反射にして無心でレースに入っていけるかというのを修正しました。今までは考えすぎていたというのではなくて、正直スイッチが入ってなかったという感じで、ロシア語圏の大会では少しロシア勢の後塵を拝していたという印象だったのが、やっと(多くの)お客さんがいるところで少しドキドキしてきたのかなと思います」