男子ジャンプに「小林陵侑効果」。強い日本代表チームの復活へ前進

  • 折山淑美●取材・文・写真 text&photo by Oriyama Toshimi

 昨シーズンW杯総合優勝を果たしている22歳の小林陵侑(りょうゆう/土屋ホーム)が、8月23日~24日に行なわれたサマーグランプリジャンプ白馬大会の第5戦、第6戦で2連勝を飾った。

 23日の第5戦、小林のひとり前の佐藤幸椰(ゆきや/雪印メグミルク)が、追い風が弱まった中で134mの大ジャンプを見せたため、小林のスタートゲートは2段(1m)下げられた。しかし再び向かい風に変わり、さらに強まったためしばらく待機。結局、小林のスタート位置は、さらに2段下げられた。

2連勝した小林陵侑(中央)と、佐藤幸椰(右)と佐藤慧一(左)2連勝した小林陵侑(中央)と、佐藤幸椰(右)と佐藤慧一(左)

 それでも「練習でも9番ゲートから跳んでいたので、この状況だったらこれくらいかなと思った」と、132.5mまで飛距離を伸ばし、飛型点も19点と19.5点を揃えて危なげなく勝った。

 昨シーズン、小林は日本人初のW杯総合優勝を果たし、世界選手権制覇こそ逃したが、年末から年始にかけてのジャンプ週間や、ノルウェー4会場で10日間にわたり行なわれるRAW AIR トーナメントでも総合優勝するなど、数々のタイトルも獲得した。オフシーズンを経て、この夏は国内で飛び始めていたが、世界のトップ選手と対戦する国際大会は、今回が最初だった。

「佐藤幸椰さんが134mを飛んだ時は一瞬どうしようかなと思いましたけど、まぁしょうがないかなと。1本目も2本目も、飛び出しで考え過ぎたというか、久しぶりのグランプリで緊張して思い切った動きができなかった」

 前日の公式練習では2本飛んで、弱い向かい風の中で133mと134.5mを飛び、ともに1位の得点を獲得していた。それがよかっただけに、この日のジャンプには悔しさを感じたという。

 それでも、勝ち方は"さすが陵侑"と言えるものだった。1本目は比較的強めの追い風の中で、条件のよかった幸椰の131mに次ぐ129m。ウインドファクターの得点で、1.8点差をつけてトップに立った。そして2本目は2m下のゲートからヒルサイズ超えのジャンプをして2位に12.8点差の圧勝だった。

 この日2位になった佐藤幸椰は、小林についてこう話した。

「陵侑に勝つことは、今の世界の全選手が目標にしていることですが、敵わない選手になりつつあるというか......。カミル・ストッフ(ポーランド/ソチ、平昌五輪の金メダリスト)や、世界選手権で優勝したダヴィド・クバッキ(ポーランド)も強いけど、彼らとは比べ物にならないくらいのオーラがある」

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