平野歩夢のUSオープン優勝にみる、
日本がスノボ王国となる可能性

  • 徳原 海●文・写真 text&photo by Tokuhara Kai

 3月5日~10日(現地時間)に行なわれた、スノーボード・バートンUSオープンでの平野歩夢の初優勝は国内でも思いのほか大きな反響を呼んだ。伏線には平昌五輪におけるショーン・ホワイト(アメリカ)との激闘の末の銀メダルがあったにせよ、その注目度の高さは時代の大きな波を感じさせる。

ファイナルラン直後、ボードを掲げて喜びを表現する平野歩夢ファイナルラン直後、ボードを掲げて喜びを表現する平野歩夢 そこで、ここではあらためて平野のUSオープンにおける快挙の裏側をレポートしつつ、他の日本人ライダーたちの活躍ぶりもお届けしたい。USオープンの現地取材で強く感じたこと、それは、平野歩夢を中心に、若い世代のライダーたちの間でかつてない良質なサイクルが生み出されつつあるということ。実はこれまでも世界的レベルのライダーが多かった日本のスノーボード界だが、このUSオープンをきっかけに、その飛躍のスピードがさらに加速するかもしれない。

 Xゲームズと並ぶ世界最高峰のプロトーナメントと呼ばれるUSオープンだけあって、平昌五輪直後にもかからず、ハーフパイプ、スロープスタイルともに世界中のトップライダーたちがエントリー。平野が出場した男子ハーフパイプも、平昌の金メダリストでUSオープン2連覇中のショーン・ホワイトは不在だったものの、平昌で銅メダルのスコッティ・ジェームズ(オーストラリア)を筆頭に五輪ファイナリストたちがアメリカ・コロラド州ベイルに集結した。

 そんな中、予選では必勝トリック「ダブルコーク1440」を繰り出すことなく92.37ポイントを叩き出し、危なげなく1位突破した平野。迎えた決勝は、時折雪混じりの強風が吹くタフなコンディションの中、2本目にバックサイドインディから始まり、フロントサイドダブルコーク1440、キャブダブルコーク1080、フロントサイドダブルコーク1260、バックサイドダブルコーク1260というルーティンを完璧にフィニッシュさせ、 89.62ポイントでトップに立った。

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