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世界が驚くカーリング女子。
チームを作った本橋麻里「8年前の想い」 (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text by Takeda Soichiro
  • 甲斐啓二郎●撮影 photo by Kai Keijiro

――バンクーバー五輪では8位。世界選手権は11位。結果が出なかったことがひとつの要因になったと?

「結果ももちろんですが、五輪を最大目標にしてきたチームが、その五輪であそこまで崩れたことがショックでした。2008年の世界選手権でベスト4に入ったんですけれど、本来、あのときのような戦い方をしなくてはいけなかった。でも、日本はあそこがピークでした。他の国はあくまでも五輪を睨んでの調整で、あそこからグッと力をつけてきていたのに......」

――金メダルを獲得したスウェーデンなどもそうですね。

「ディフェンディングチャンピオンというプレッシャーの中での連覇は本当にすごいです。けど、あのチームって、トリノ以後の大きな大会では、ほとんど見かけなかったんですよ。だから、今回のバンクーバー五輪には出てこないんだろうなぁ、と思っていました。そうしたら、しっかり出場してきて、きちんと五輪にピークを持ってきて、優勝していった。『何なんだ、この人たちの調整力は!?』と、とてつもない衝撃を受けました。

 また、選手村に入ってからの過ごし方にも日本との差を感じました。ものすごくリラックスしていて、五輪を完全に楽しんでいるんですよ。そうしたことも含めて、アイスの上(の技術)だけではない、メンタルの部分での見直しが必要だと痛感しました」

――五輪の大会中、日本のメンタル面での脆さを具体的に感じた出来事はありましたか?

「予選リーグで、結果が出なくなってからですね。そういうときにはチーム内でお互いに声をかけあって、選手個々がもっと突っ込んで話し合うべきでした。もちろん、それによって意見がぶつかることもあるかもしれない。でも、絶対に必要だった。チーム状態が良くないという認識はあっても、『ここまで来て、今からチームの立て直しをするのはどうなんだろう......』と臆病になってしまった部分があるかもしれません。

 みんな、自分のことに集中するだけで精一杯になって、余裕がなかった。そんなときこそ、前回大会の経験もある私が、何かチームのためにすべきだったんじゃないか、という反省は大きいです」

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