夏のメダリストも驚く、複合・渡部暁斗の「五輪でも動じない」メンタル (2ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • photo by AFLO


 4年前から大きく変えたのはジャンプだという。課題だったジャンプを大きく改善するため、まずは肉体改造から取り組み、体の使い方を修正してきた。それが結果的にクロスカントリーの走りにも好影響を与え、総合力が上がったと渡部選手は語る。

 今シーズンの渡部選手は前半のジャンプでトップに立ち、そのまま後半のクロスカントリーで逃げ切るのが必勝パターンだ。平昌五輪のメダル争いも前半のジャンプがカギとなるだろう。ノルディック複合はジャンプ次第で後半の展開は大きく変わる。

 ノルディック複合、いやジャンプ自体を初めて取材して、私が驚いたのは、こんなにも風の影響を大きく受ける競技なのか、ということだった。

 競泳は極めて"安定した"環境で競技が行なわれる。屋外プールで競技することもあるが、五輪や世界選手権は原則、屋内プールで行なうことが決まっている。さらに国際大会の行なわれるようなプールは今やどこも泳ぎやすい。水が軟水、硬水で違いがあるなどという話もあるが、ハッキリ言ってあんまり関係ない。

 競泳競技の結果を左右するものは、選手がその日まで積み重ね、磨いてきた技術、体力と最後にそれをレースで出し切れるかどうかのメンタルだけだ。そのため、競泳は番狂わせの少ない競技だと思う。

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