夏のメダリストも驚く、複合・渡部暁斗の「五輪でも動じない」メンタル (3ページ目)

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • photo by AFLO

 一方のノルディック複合は、ジャンプ時の風がその成績に大きく影響し、ジャンプの結果如何では試合の流れが変わる。

 なかば「運」といえるものに自分の4年間の努力が左右されることを、選手たちはどう自分の中で消化しているのだろうと思った。

 さらに、私は金メダルを目指すと公言している渡部選手が驚くほど自然体でいることにも驚いた。そのことを問うと淡々と語ってくれた。

「金メダルが獲れなくても、死ぬわけではありません。今回ダメだったら、また4年後を目指せばいい。この4年間、最大限の準備をしてきたつもりですが、金メダルが獲れるかどうかはやってみなければわからない。そこには一種の諦めもあって、諦めているからこそ、すべてを懸けてチャレンジできるんです」

 また、平昌五輪後にW杯シリーズが続くことにも触れ、「平昌五輪はW杯とは別物と考えて挑むが、平昌五輪後もまだ大会はあるぞ、という気持ちで五輪に臨みたい」と話した。

 かつて2012年ロンドン五輪で金メダルを目指していた時、私は「すべてを懸けて、そこに挑む」という感じだった。五輪以降の大会なんてとても考えられなかった。

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